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モーリシャス座礁事故で、環境NGOのグリーンピース、商船三井と長鋪汽船に公開書簡を送付。事故の補償と化石燃料からの撤退を要求(RIEF)

2020-08-14 21:32:22

mitusi001キャプチャ

 

 環境NGOグリーンピース・ジャパンとグリーンピース・アフリカは14日、インド洋のモーリシャス沖で座礁・重油流出事故を起こした日本の貨物船「わかしお」の運航会社の商船三井と、貨物船を保有する長鋪汽船(岡山県笠岡市)に対し、被害に対する十分な補償や調査、化石燃料からの撤退を求める公開書簡を送った。

 

 「わかしお」の座礁事故は7月25日に起きた。その後、16日経ってから、重油が流出しており、座礁した原因とともに、座礁後の流出防止策が十分にとられなかったのはなぜかという疑問が出ている。重油流出後、現地住民やボランティアらが手作業でサンゴ礁を汚染した重油の回収作業に取り組んでいるが、船会社等から派遣された専門家が現地に到着したのは、 事故後3週間近くたってからという。

 

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 こうしたことから両環境NGOは、「商船三井と長鋪汽船は、ともに重大な災害を起こしているにもかかわらず、その被害を抑え、責 任を果たすための行動をほとんどとっていない」と指摘。公開書簡では、事故対策と責任の取り方について4つの点を示して、対応を求めている。

 

 第一は、「汚染者負担原則の完全履行」。謝罪は第一歩に過ぎない。事故に対する責任を取り、被害を受けた現地住民らの暮らしに対して、将来にわたる損害を賠償しなければならない。両社は、破壊された自然を回復する費用も負担しなければならない。重油流出が引き起こした被害のすべてを明らかにし、日本船主責任相互保険組合や、その他保険会社の保障外の損害に対しても費用を支払う責務がある。現地住民と積極的に話し合い、誠意をもって解決策を探ることを求める。

 

Mauritius002キャプチャ

 

 第二は「事故の原因と影響に関する第三者機関による調査を完全公開し、その費用を負担すること」。生態系の現状と人間や自然への影響の調査を求める。調査は、両社やその系列会社と関連がなく、独立した学術・科学的専門家により実施されるべき。調査に携わる専門家はモーリシャス政府とも関連のない人であるべき。調査の資金が正 しく使われるために、財政的・倫理的に優れた現地のNGOに取り扱いを委ねるべき。

 

 第三は「事故を起こした航路の使用中止を約束すること」。事故による被害と、これからの気候変動の影響による将来的なリスクを認識し、 モーリシャスの海を「無害通航」できるこの航路は廃止されなければならない。そのために個別の輸送レーンの見直しを直ち に開始すべきである。

 

 第四は「化石燃料からの撤退」。今回の事故を、2006年に起きた商船三井のBRIGHT ARTEMIS号事故に続く、さらなる警告とし て受け止め、可能な限り早急に石油・天然ガスの利用から撤退する方針を宣言することを求める。両社はすべての船舶の燃料を、化石燃料から持続可能な自然エネ ルギーへの移行を優先事項として加速させるべき。石油と天然ガス、石炭の輸送を停止し、商船三井は液化天然ガスを含めた石油とガスの製造業務からも撤退すべき。

https://storage.googleapis.com/planet4-japan-stateless/2020/08/579939f7-mauritius-open-letter_japanese_final.pdf