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ブラジルなどで広がる新生児の小頭症、ジカ熱原因説と別に、日本の住友化学製の殺虫剤説浮上。同社は否定見解公表(RIEF)

2016-02-21 17:03:45

Zikafeverキャプチャ

 

  ブラジルなどで流行しているジカ熱ウィルスが原因とみられる新生児の小頭症多発問題で、アルゼンチンの医療グループが原因は「ジカ熱ではなく、化学殺虫剤の疑いが強い」と指摘した情報が広がっている。殺虫剤の製造元として、日本の住友化学の名があがった。同社は否定コメントを公表した。

 

 「殺虫剤説」を指摘したのは、「Physicians in Crop-Sprayed Towns (PCST)」とする医療チーム。ブラジルでは2014年から飲料水中の蚊の幼虫を駆除するため、水道システムに化学殺虫剤を投入プログラムを開始している。

 

 駆除はブラジル政府の主導によるが、世界保健機関(WHO)の支援も受けている。殺虫剤は住友化学製のピリプロキシフェン。住友化学は米化学メーカーのモンサントと提携して中南米での除草ビジネスを展開してきた。

 

 PCSTは、「ピリプロキシフェンが飲料水に投入されたブラジルの各州で妊婦から小頭症の新生児が多数発生しており、偶然とは言い切れない」と指摘している。PCSTはレポートの中で、住友化学をモンサントの子会社と表記するなどの誤りもある。http://www.naturalnews.com/files/Informe-Zika-de-Reduas_TRAD.pdf

 

 PCSTが指摘する事例によると、ブラジル健康省が殺虫剤のピリプロキシフェンを貯水池に投入したPernambuco州では駆除対象の「ネッタイシマ蚊」が広く生息している。同州は、小頭症が最初に発見された州でもある。また、ブラジルで発見された小頭症の35%が同州で見つかっている。

 

 PCSTは、過去にジカ熱が発生した際、ウィルスと関連した小頭症の発生は見られなかった、と指摘。また、ジカ熱の発生事例が多く見つかっているコロンビアなどの他の国では、ジカ熱関連の小頭症発祥の事例は報告されていない、としている。特にコロンビアでは、多くの市民がジカ熱に感染し、ジカ熱感染の妊婦も3177人いるが、小頭症の事例は一例も報告されていないという。http://www.techtimes.com/articles/133548/20160214/monsanto-larvicide-not-zika-virus-true-cause-of-brazils-microcephaly-outbreak-doctors.htm

 

 また米ワシントンポスト紙は、ブラジルでの4000以上の症例から、732件を専門家が調査した結果として、半分以上はジカ熱が原因ではなく、ジカ熱が原因とされたのは270事例だけだったと報道している。https://www.washingtonpost.com/news/worldviews/wp/2016/01/29/brazil-may-have-fewer-zika-related-microcephaly-cases-than-previously-reported/

 

 WHOはジカ熱と小頭症の因果関係については明確には断定していない。だが、19日、ジカ熱対応チームのトップを務めるエイルワード氏は「妊婦の(ジカ熱)感染と新生児の小頭症との関連について、ますます疑いが濃厚」との見解を示すとともに、関連性の確認には今後、4~6カ月かかると見通しという。

 

 ブラジル健康省は、ピリプロキシフェンと小頭症の関連性を「噂」として否定している。またPCSTの指摘に反論する形で、ピリプロキシフェンを使用していない地域での小頭症の報告事例もある点を強調している。

 

 PCSTの指摘も断定したものではない。殺虫剤が原因とする明確な証明はないものの、疑心暗鬼は広がっている。ブラジルの地方自治体の中には、ピリプロキシフェンの使用を延期するところも出ているという。

 

 疑念を向けられた形の住友化学は19日、小頭症との関連性を否定する見解を発表した。

 

 「(ピリプロキシフェン)製品は登録にあたり、哺乳動物に対する膨大な安全性試験が実施され、発がん性や催奇形性等の悪影響がないことを確認している」

「中南米など約40か国で、20年以上もわたって安全に使用されており、その実績の中で、小頭症との因果関係を示す報告はない」

「本製品使用と小頭症発生に因果関係があるとの指摘は科学的根拠がきわめて乏しい」ーー。 http://www.sumitomo-chem.co.jp/english/newsreleases/docs/20141209e.pdf

 

 住友化学とともに名指しされたモンサントは、同社はピリプロキシフェンンの製造にも販売にもかかわっていない、とするとともに、住友化学とはビジネス上のパートナーであると説明している。

 

 PCSTのレポートを作成したのは、アルゼンチンの国立コルドバ大学の教授らを含む「環境と健康のための大学ネットワーク(REDUAS)」で、過剰な化学物質の使用が環境と人間の健康の悪影響を懸念することを科学的に検証し、警鐘を鳴らす活動をしている。

http://www.reduas.com.ar/author/reduas/