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「カガクで願いを叶える『カネカ』」、廃プラ汚染問題で生分解性プラスチックに大きなビジネスチャンス。段階的に設備増強。まず25億円で現行生産能力を5倍に(RIEF)

2018-08-08 22:11:03

kanaka1キャプチャ

 化学会社のカネカは、生分解性プラスチックの製造設備を25億円投じて大型化すると発表した。廃プラスチックによる海洋汚染が世界的に課題となっている中で、同社の生分解プラスチックへの需要が高まるとの判断から。現在は主に欧州向けに輸出している生産能力を年1000㌧から5倍の5000㌧に拡大するとともに、次のステップとして2万㌧にまで引き上げる計画。廃プラ問題は技術力のある同社にとって新たなビジネスチャンス到来でもあるわけだ。

 

 (写真は、同社の生分解性プラスチックを使った製品)

 生産を拡大するのは同社の兵庫県高砂市にある高砂工業所。100%植物性由来の生分解性プラスチック(商品名:『カネカ生分解性ポリマーPHBH ® 』)の製造設備を大型化する。同製品は主に欧州に向け、果物・野菜袋やコンポスト(生ゴミ堆肥化)袋用などとして輸出している。PHBHは30度の海水中だと、6カ月以内に90%以上が水と二酸化炭素に分解されるという。

 同製品は国際的な認証機関Vincotteから、海水中でも生分解する認証を取得している。また今年3月には米国食品医薬品局(FDA)の食品接触物質(Food Contact Substance: FCS)に登録された。FCSは、食品の製造、梱包、包装、輸送、保持のために使用される材料の成分に使用される 物質で、安全性を認定された製品をいう。このため、米国市場でも今後、海洋資材や食品包装など幅広い用途での需要増が期待される、としている。

 

多様に活用できる生分解性プラスチック
多様に活用できる生分解性プラスチック

 

 

 同社によると、 生分解性プラスチックの世界需要は2022年には100万㌧を超え、市場は急拡大すると予測される、としている。このため今回の生産能力増強を最初のステップとして、グローバルに拡大する需要に対応できる生産体制を段階的に整え、また用途開発も進めていくとしている。

 今回の設備増強は、2019年12月に稼働の予定で、その次のステップとして生産能力2万㌧規模の商業化プラントの検討を開始していることを明らかにした。生分解性プラスチックで、廃プラ海洋汚染問題を打開する「世界の願い」を叶えることが期待される。

 

http://www.kaneka.co.jp/service/news/nr201808071/