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固定価格買取制度(FIT)のバイオマス発電燃料の輸入木質ペレットにFSC認証の大量偽装の疑念。ベトナムでは生産可能量の5.5倍も「認証」付与。バイオマス発電の持続可能性に疑問(RIEF)

2020-05-23 17:24:32

pellets1キャプチャ

 

  再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の対象となるバイオマス発電の燃料として、ベトナム、タイから輸入される木質ペレットに大量のFSC(森林認証制度)認証偽装が起きているの疑惑が浮上している。関係筋によると、ベトナムからは生産可能枠を約5.5倍も上回る「認証ペレット」が日本と韓国に輸入され、タイでは他工場の未認証ペレットを認証付きと偽装して輸入している可能性があるという。ペレットに認証があると、FIT電力での買い取り価格が高くなる。ベトナムの分だけで約80億円分高く買い取られたとの指摘もあり、その分、FITの国民賦課金負担増になっている可能性がある。

 

 海外からの輸入木質ペレットに「認証偽造」の可能性があることは、すでに現地の業界、NGOらの間で指摘されている。一部の関係者らは、FIT制度を担当する経産省や、FSC認証を所管する林野庁に調査を要求しているというが、日本の行政の対応は極めて鈍いという。

 

 現行のFIT制度では、バイオマス発電による発電電力の買い取り価格は、燃料とするバイオマスによって価格が異なる。FSCなどの認証付きの一般木質バイオマスだと1kWh当たり24円、認証のない建設資材廃棄物だと同13円と半額近く安い。このため燃料となるペレットを供給する側は買取価格の高い認証付与を重視する。https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_kakaku.html

 

ベトナムの木質ペレット工場(本記事とは関係ありません)
ベトナムの木質ペレット工場(本記事とは関係ありません)

 

 だが、関係筋によると、ベトナムでの現在のFSC認証のアカシア等の栽培面積は約15万7320ha。ここで栽培された樹木を7年間で伐採すると計算した場合、紙パルプ用の木質チップ等を除いて、木質ペレットとしての生産可能量は約30万8414㌧と推計される。ところが、実際にベトナムから認証付きペレットを大量に輸入している日本と韓国両国の輸入量を合計すると、その5.5倍の約171万1544㌧になる。日本の輸入分だけに絞っても、全体のペレット生産可能分より7割近く多い。

 

 タイでは、ペレット製造能力のない工場が、他の工場から認証の付いていないペレットを調達したり、異なる樹種の認証を付与したりして、認証付きペレットとして日本に輸出しているとの疑惑が業界内で指摘されている。タイやベトナム等からの認証ペレット輸入には、三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠、阪和興業など、多くの主要商社が関与しているとされる。

 

 また輸入認証ペレットを、商社から購入して燃料としている発電所には、JERA(常陸那珂、武豊)、 常磐共同火力、オリックス(響灘、相馬)、日本製紙・三菱商事(石巻雲雀野)、出光興産(昭和シェル)(京浜)、IHI(七ツ島) 、九電(大分)、丸紅関電(神栖)などの名前があがっている。これらの発電所の燃料の中に認証偽証ペレットが大量に紛れ込んでいる可能性があるわけだ。

 

 認証ペレットの偽装疑惑は、東南アジアだけにとどまらない。米国のバイオマス燃料大手のエンビバ・パートナーズLPは、2022年以降、同社の木質ペレットを日本に年間200万~300万㌧もの大量の輸出をする予定という。しかし、同社の2018年のHPデータによると、対象の森林でFSC認証を取得しているのは23%だけと明かしている。つまり同社のペレットの約8割は現在のところ、認証が条件となる一般木質バイオマスではないことになる。しかし、日本への輸出契約では、認証ペレット扱いで各発電所に高く販売される見通しという。

 

 バイオマス発電については、本当に資源再生やCO2削減に効果があるのか、という議論が欧米でも根強く展開されている。米国やカナダ等では、間伐材ではなく、森林を皆伐して、機械的にペレットを生産する手法がとられており、生態系への打撃は極めて大きい。そうした問題を是正するため、FSC認証等によって、森林保全と開発のバランスをとることが推奨されるわけだが、日本のFIT制度では、FSC認証の適格性評価が疎かになっているため、「認証偽装」が広がっていると指摘されている。

 

 現地の事業関係者によると、FSC認証の偽装が起きる原因として、①日本の輸入者がFSC認証材の確認方法を十分に知らない②ベトナム、タイの供給者が意図的に認証材を偽装している ③FITの認定団体がFSCの仕組みを知らず、 FSC認証材の確認が不十分なまま事業者認定をしている④ベトナム、タイの供給者だけでなく、輸入者も偽装に加わっている可能性⑤不正をチェックする経産省と林野庁の体制が脆弱ーーなどの諸点をあげている。

 

 ある推計では、FITによる東南アジアでの超過支払い(一般木質バイオマス偽装)が年間80億円として、今後、米国向けで発生が予想される同様の超過支払いが年間230億~335億円となる。FITでの買い取り期間15~20年間でのこれらにかかわる国民賦課金の増額分は、3450億~6700億円に達する、としている。

 

 再エネ促進という目標は望ましい制度であっても、役所がその管理・運営を十分にできないようだと、制度を悪用されても気づかず、結局は国民負担の増大につながるという典型例かもしれない。

https://fsc.org/en

https://jp.fsc.org/jp-jp

https://certifications.controlunion.com/ja/certification-programs/certification-programs/fsc