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(更新)神戸市、21年度から発行する市債を全額(1500億円)、国連のSDGs目標に適合する「SDGs債」として発行。UNDPのインパクト基準案で第三者評価を取得。ESG投資家にアピール(RIEF)

2021-03-22 09:39:41

kobe001キャプチャ

 

 神戸市は22日、2021年度に発行する市債の全額1500億円を、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を資金使途とする「SDGs債」として発行すると発表した。市が策定する21年度からの5カ年の持続可能な街づくり計画での資金使途がSDGsに適合するとの評価を第三者機関から得た。自治体の資金使途は基本的に公的な用途に活用されるため、SDGs目標に合致するといえるが、議会とは別に第三者機関の評価を受けることで投資家にアピールできる。

 

 自治体発行の地方債の使途を全額、SDGsの目標と紐づけた債券発行は初めて。資金使途は、21~25年度に市が実施する「神戸2025ビジョン」に網羅する事業に充当する。同計画では阪神大震災の経験を踏まえ、災害に強い街づくりを進めるほか、人口減少社会を見据えた持続可能な街づくりを目指すとしている。

 

 神戸市の2020年度市債発行計画では5年、10年債等から超長期債等を含め、年間1450億円となっている。円建てだけでなくドル建て発行も予定している。https://www.city.kobe.lg.jp/a61436/shise/financial/shisai/shisainituite.html

 

 SDGs債の評価は格付投資情報センター(R&I)が付与する。発行する債券のSDGsへの適合性については、国連開発計画(UNDP)が2020年10月に公開した「SDG イン パクト基準」(事業向け)の草案への適合度を評価したとしている。

 

 UNDPのインパクト基準案は、①戦略②管理アプローチ③透明性④ガバナンスの4項目の適合性を求めている。R&Iは、①では、神戸市が策定する「神戸2025ビジョン」が、神戸市とステークホルダーのための長期の価値創造を組み込んでいると評価し、持続可能な開発へのポジティブな寄与及び SDGs の達成に資するものと位置付けた。

 

 ②では、神戸市の取り組みについて、インパクト管理及び持続可能な開発へのポジティブな寄与を組織メカニズムと意思決定プロ セスに統合していると評価。EBPM(Evidence-based policy making:証拠に基づく政策立案)の考え方をベ ースに想定されるパフォーマンスからの乖離分析やインパクトの検証を実施している点を評価した。

 

 ③では、神戸市は基本目標毎に定める数値目標の達成度、各施策の取り組み状況や重要業績評価指標 (KPI)の達成度を把握・公表するとしている。まちの質・くらしの質を示す客観的指標や SDGs ローカル指標などのデータを踏まえて効果検証を実施、有識者会議や市のウェブサイトで報告する、としている。

 

 ④では、神戸市は同ビジョンに対する積極的なガバナンスを実施し、持続可能な開発へのポジティブな寄与及び SDGs の達成に対するコミットメントを補強する、としている。R&Iはこうした評価の元に、神戸市のSDGs債のフレームワークは、UNDPの基準案に適合するとの判断を示した。

 

 神戸市は、水素燃料100%による市街地への電気・熱供給の取り組みを実施し、世界エネルギー都市間パートナーシップ(WECP)に日本の自治体として初めて加盟したほか、国連機関が主導するSDGsに関連のスタートアップの育成拠点もアジアで初めて開設するなど、SDGs対応を積極的に市政に盛り込んでいる。

 

 報道によると、市財政課は「国内外で環境や社会生活に配慮された投資先への関心が高まっており、投資家からの安定した資金調達につなげる」としている。市では22年度以降に発行する市債も同様に全額SDGs債とすることを検討しているとしている。

 

*本記事は、2021年3月22日午後8時15分、神戸市の正式発表を受けて、記事内容を更新しました。

https://www.city.kobe.lg.jp/a61436/shise/financial/shisai/shisainituite.html