HOME |フランスの原発大手アレバ社 原子炉製造工程での点検記録・テストデータ等の不正約400件発覚。うち50件は現在稼働中の原発分。洋の東西を問わず原子力関係者の『改竄』、『隠蔽』は習性か?(RIEF) |

フランスの原発大手アレバ社 原子炉製造工程での点検記録・テストデータ等の不正約400件発覚。うち50件は現在稼働中の原発分。洋の東西を問わず原子力関係者の『改竄』、『隠蔽』は習性か?(RIEF)

2016-05-06 22:37:04

Areva1キャプチャ

 

  フランスの原子力当局のNuclear Safety Authority(ASN)は、原子力メーカーのArevaが、1965年以降に製造した原子炉の約400か所に製造チェックの記録漏れ等の不正があり、そのうち約50は現在、稼働中の原発のもの、と公表した。

 

 Arevaはフランス政府が株の過半を持つ国営企業だが、原発事業の低迷で経営危機に直面している。現在、グループ会社への出資で三菱重工業とも交渉が続いている。

 

 今回の問題発覚は、フランス北西部ノルマンディー半島のFlamanville に建設中のEPR(欧州加圧水型炉)での点検が発端となった。

 

 昨年、同原発に導入する原子炉に脆弱な部分が発見された。このため、ASNの指示でArevaは、原子炉の中核部分を製造している同社子会社のCreusot Forgeの鍛造工場と工程を調べてきた。

 

 その結果、製造工程への監査で、製造の元になるデータやテスト結果などが、実際の製造ファイルでは不一致になっていたり、改造、欠落などの不正表記が多数見つかったという。事態を重視したASNはArevaに対して、EPRの製造が始まった2004年に遡って記録を調べるよう指示した。

 

 すると今度は、1965年以来、製造された約400の部分に報告の不正・改竄や記載漏れ等の不具合があることがわかった。見つかった400件の不具合の中に、Arevaが海外で建設した原発のものが含まれているかは、コメントされていない。

 

 ASNはArevaの報告を受けて、できるだけ早期に、対応する箇所や部品等のリストを作成し、国内の原発の安全性に及ぼす影響を分析するように求めている。

 

 Arevaは、記録文書の不正改竄の可能性を認める一方で、「Creusotの工場を含めて、現在は行われていない。過去の問題だ」と説明している。また仏政府のエネルギー相、セゴレーヌ・ロワイヤル氏は「対象となった部品等は使用可能で、単なる書類上の問題」と、事態が大きな問題ではない、と主張している。

 

  フランスでは現在、国営電力会社EDFによって19の原発サイトで58の原子炉が稼働中。国内電力の75%を賄っている。しかしオランド政権は原発比率を50%に引き下げ、再生可能エネルギー発電を増やすことを決めている。

 

 EPRは東京電力の福島第一原発事故後、安全性を高めたことでコストアップし、経営危機の原因となっている。導入予定の英国やフィンランドも、 高電力価格や政府支援の妥当性を巡って議論が続いている。

 

 アレバの経営改革では、仏政府が損失補填をしたうえで、核となる原発事業についてEDFが2017年に吸収する方向。三菱重工は、Arevaのグループ会社で原発プラントの設計、機器の製造、および燃料供給などのサービスを手掛けるAreva NPに出資交渉を続けている。

 

 原発を巡る不正報告や、データの改竄等の不祥事は、わが国でも2002年に東京電力でトラブルデータを改竄していたことが発覚し、国会でも追及される事態となったほか、他の電力会社でも過去に多くの不正事件を引き起こしている。

 

 また先月には、脱原発を決めているドイツで、既存原発の放射性物質の安全性確認作業において、意図的な手抜きと隠蔽工作が、2機の原発で同時に発覚している。「隠蔽」「改竄」「誤魔化し」は、原発ビジネスにつきもの、ということか。

 

http://www.french-nuclear-safety.fr/Information/News-releases/Irregularities-concerning-components-manufactured-in-its-Creusot-Forge-plant

http://www.areva.com/EN/operations-2121/creusot-forge-and-creusot-mecaniquemanufacturer-of-large-forging-and-casting-components.html