HOME |東京電力また“不正データ請求”。東電から切り替えた新電力会社との契約者に月1500円も高く請求。約1600件分(RIEF) |

東京電力また“不正データ請求”。東電から切り替えた新電力会社との契約者に月1500円も高く請求。約1600件分(RIEF)

2016-06-24 22:35:02

PGキャプチャ

 

  東京電力グループがまた、小売電力自由化に関連して、ライバルの新規参入の電力事業者に不利となるデータの取り扱いをしていたことが発覚した。東電は“誤操作”と強調しているが、東電から顧客をスイッチした電力事業者の信頼性を損なう結果となることから、東電グループの意図的な不具合ではないか、との疑念が深まっている。

 

 東電グループの送配電子会社、東京電力パワーグリッド(PG)は24日、首都圏の小売電力市場に参入している東京ガスなど電力小売り業者25社に対して、一部の家庭などの電気使用量を誤って伝えていたと発表した。

 

 発表によると、誤った電気使用量データは月間電気使用量1,646件分。PGは誤データ送付の判明後、直ちに小売電気事業者に連絡したが、東電から新電力会社にスイッチした顧客のうち、今回の対象となる企業は6月分で平均1500円ほど過大請求された可能性があるとしている。

 

 PGは誤データ送付の原因について、契約変更に伴ってスマートメーターの他社データの取り扱いで、「託送業務システムの不具合によって正しい検針期間が設定されない場合」が見つかったという。その不具合を解消するために新たな処理機能を追加したがその手順の一部に誤りがあり、検針期間を前月の検針期間と重複して(4~7日間)処理してしまった、という。

 

 つまり、スマートメーターのデータ操作にトラブルがあり、それを修正するための措置でさらに誤りを起こしたという二重のミスが原因というわけだ。

 

 電力小売りの全面自由化法は2年前に成立しており、それを前提にしたスマートメーターの設置も十分な準備期間があった。他の既存電力も同様の条件でスマートメータ等の設置を進めてきた。ところが、現在のところ、トラブルが表面化しているのは東電グループだけ。

 

 今回のミスに先駆けて、東電PGは東電から契約を変更した消費者の使用量のデータを、同社のシステムで送れず、契約を東電から他の電力会社に切り替えた世帯などの約2万件の電気料金が円滑に計算できなくなるトラブルを引き起こし、電力・ガス取引監視等委員会から17日、業務改善勧告を受けている。

http://rief-jp.org/ct4/62292?ctid=72

 

 さらに同委は、既存電力会社2社が新規参入の発電事業者から送電工事の費用を過徴収していたとして、是正指導をしたが、2社の名前が公開されていないことから、「これも東電の意図的な措置ではないか」との推測が一部で出ている。

http://rief-jp.org/ct4/62439?ctid=72

 

  PGは「小売電気事業者さまや電気をご使用になられる皆さまに対してご迷惑とご心配をおかけしていることを心よりお詫び申し上げます」と、HPで非を認めている。だが、問題は、どうしてこうしたミスを複数も重ねるのかということだ。

 

 やはり、前回指摘したように、意図的なサボタージュか、あるいは東電はシステムの取り扱い能力や、それをチェックするガバナンス体制が、その程度でしかない、ということかもしれない。

 

 5年前の福島第一原発事故の際も、大規模な津波の発生に対して備えが十分でないというデータが社内で事前にわかっていたのに、東電首脳部は対策コストをケチる形で、備えを取らず、事故の影響を拡大したことが知られている。また最近、明らかになった福島原発の炉心溶融の事実を、意図的に伝えなかった問題にも、東電の「自己都合体質」が共通する。

 

 東電が引き起こすいくつかのトラブルは、電力自由化に対する消費者の信頼を損ねている。本来ならば、監視委ではなく、政策を担当する経済産業省が正面から受け止めて、東電への厳格な姿勢をとるべき事態だ。ところが経産省はこれまでのところ、音なしだ。同省のエネルギー政策自体への不信感につながるという認識を持たないとすれば、同省のガバナンスもマヒしていると言わざるを得ない。

 

http://www.tepco.co.jp/pg/company/press-information/press/2016/1300907_8622.html

http://www.tepco.co.jp/pg/company/press-information/press/2016/pdf/160624j0201.pdf