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米中両国 9月2日にも、パリ協定の批准を共同発表へ。協定の年内発効へ大きく前進。G20の温暖化対策で米中がリーダーシップ発揮(RIEF)

2016-08-27 10:29:10

obamaキャプチャ

  

    米中両国が、9月初めに中国・杭州で開く20カ国・地域(G20)首脳会議の直前に、地球温暖化対策の国際合意であるパリ協定の批准を共同発表する見通しとなった。米中は世界全体の温室効果ガス排出量の38%を占める。

 香港のSouth China Morning Postが報道した。米中の温暖化担当の上級交渉官同士が今週初めに共同発表の協議を行って一致したとしている。9月2日が有力視されている。

 米中両国は2014年11月に、オバマ大統領と習近平国家主席の首脳会談で、温暖化ガス削減の自主目標設定を共同発表した。その後も両国間で広範な温暖化対策を共同で推進している。

 今回のパリ協定批准での共同発表による両国のリーダーシップ発揮は、温暖化対策において、日米よりも米中の協力関係が強固であることを、改めて世界に示す形となる。

 昨年12月の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)では、196カ国・地域が合意したパリ協定は、世界の温室効果ガス排出量の55%を排出する55カ国以上の批准を受けて、発効すると定めている。

 これまで批准した国々は23カ国、排出量で1.08%分でしかない。しかし、排出量が1位と2位の中国と米国が批准すると、協定は年内発効に向けて大きく前進する。そのほか、日本、ブラジル、ニュージーランドなどが年内批准の方針。欧州連合(EU)も11月にモロッコで開くCOP22に向けた作業を急いでおり、協定の年内発効の見通しとなっている。http://rief-jp.org/ct4/63740

 パリ協定に基づく米中両国の温室効果ガス削減目標は、中国の場合、2030年の前に、国内のCO2排出量をGDP当たりで60~65%削減(2005年比)するとともに、排出量の伸び率を30年前後にピークアウトさせるとしている。米国も2025年に25~28%削減(2005年比)する目標だ。

 

 ただ、米議会で多数を占める共和党は、温暖化対策の強化に慎重で、かつ同党大統領候補のドナルド・トランプ氏は、自らが大統領になったらパリ協定離脱を宣言している。

 

 

 このためオバマ大統領は、議会承認を得なくても大統領権限で批准できる内容の目標としたうえで、次期大統領が就任する前に協定の発効を取り付けることで、協定に反対する大統領が選出されても、発効後、実質4年間は離脱できない対応にしようとしている。

 

 

 米中が協定批准を共同発表すると、模様眺めの状態にある他の国に対しても、大きなインパクトになるとみられる。協定を批准した国は、国内のCO2排出量削減のための有効な対策を打ち出す必要がある。

 

 

 それらの対策によって、太陽光や風力などの再生可能エネルギー事業やビルなどの省エネ事業、社会インフラの気候変動対応の補強・新設など、低炭素社会に移行するための新たな投資機会が広がることが期待される。

 

 ただ、South China Morning Postは、予想される米中共同発表に向けて、中国側にはほとんど懸念はみられないが、米国側には依然、議会や大統領選挙などとの関係で、「若干の不透明な部分」もある、と指摘している。

http://www.scmp.com/news/china/policies-politics/article/2008593/landmark-step-china-and-us-ratify-paris-climate-deal