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米ニューヨーク州司法当局 石油大手エクソンモービルの資産評価損未計上問題を調査。温暖化対応の資産減損未計上も(各紙)

2016-09-17 16:28:37

Exxonキャプチャ

 

 各紙の報道によると、石油最大手のエクソンモービルが、過去2年間の原油価格の下落による保有資産の評価損を計上していないとして、米ニューヨーク州の司法当局が調査に入ったことがわかった。エクソンは地球温暖化の進行で石油・ガス資源の保有資産の減価についての会計処理も行っていない。

 

 

 ニューヨーク州の動きはウォールストリートジャーナル紙が関係筋の話として伝えた。州のシュナイダーマン司法長官が調査を指示したという。同長官は、エクソンが温暖化の影響が化石燃料によって加速されることを知りながら、投資家に情報開示をせず、温暖化懐疑論を後押ししてきたことについても調査を進めている。

 

 今回は、さらに保有資産の減損処理の不十分さに焦点を当てる形。原油価格は2014年に急落、現在も下落前の4割程度の安値にとどまっている。他の石油大手企業は減損処理を実施し、経営悪化が明らかになっているが、エクソンだけはそうした会計処理をせず、投資家から疑問の声が出ている。

 

 エクソンはウォールストリート紙に対して調査を受けているかどうかについては説明を拒否したうえで、「すべてのルール。規制を守っている」とコメントしている。保有資産の評価については、同社は過去に、新規取得した石油等の資産については、保守的な評価で元々の価値を極めて小さく見積もっているので、評価損の発生リスクが少ない、との趣旨の説明をしてきた。

 

  S&P Global Market Intelligenceの情報によると、世界の主要石油・ガス企業40社のうち、過去10年間に評価損を計上していない企業はエクソンだけということになる。エネルギー企業は、原油等の商品価格が低迷すると、保有する資源資産から石油やガスを生産する経済性も低下するので、資産評価を見直すのが通常とされる。

 

http://www.wsj.com/articles/exxons-accounting-practices-are-investigated-1474018381