HOME |東京都 グリーンボンドの「トライアル版」として、個人向けの「東京環境サポート債」発行へ。オーストラリアドル建て100億円分。販売先は首都圏の住民・企業に限定(RIEF) |

東京都 グリーンボンドの「トライアル版」として、個人向けの「東京環境サポート債」発行へ。オーストラリアドル建て100億円分。販売先は首都圏の住民・企業に限定(RIEF)

2016-10-21 22:46:19

koikeキャプチャ

 

 東京都は21日、都が実施する環境対策事業の資金を調達するため、個人向け債券「東京環境サポーター債」100億円分を11月下旬か12月初めに発行すると発表した。オーストラリアドル建て。グローバルに広がるグリーンボンドの「トライアル版」の位置づけ。小池百合子知事が定例記者会見で明らかにした。

 

 今回の個人向け都債は、グリーン度が第三者からも評価されるグリーンボンドそのものではなく、「トライアル」との位置づけ。グリーンボンドの民間国際基準であるグリーンボンド原則(GBP)などには準拠しない。小池知事は「そこ(グリーンボンド)に至るトライアルとして行う」と述べた。

 

 債券の償還期間は5年。金利は11月中旬以降に決める。購入対象者は、東京、埼玉、千葉、神奈川の各都県に在住または在勤・在学の個人か、同エリア内に主たる事業所等を有する法人・団体に限定する。購入額も1人あるいは1団体当たり1000豪㌦から100万豪㌦までと制限する。

 

 購入制限があることから流動性に難があり、外貨建てなので為替変動リスクもある。ただ、低金利下なので金利次第では個人の人気が出る可能性はある。その金利は購入希望の動向をみて、11月中旬から下旬に決定する。

 

 環境関連ボンドの発行については、小池知事が今月2日に計画を明らかにしていた。ボンドで調達した資金は、都立図書館や学校などの照明のLED化のほか、太陽光発電の増設などに充てる。LED化で図書館や学校の消費電力を約4割減らすほか、一般家庭80軒分の電力を賄う。

 

 小池知事は、再エネ効果が小さいことについて、「これはあくまでトライアル。グリーンボンドは世界中でボンボンやっていて、国内は若干遅れているということから、都知事としてこれに着目して、早速トライアルに持っていくようにした」と、知事主導であることを強調、来年度には本格的なグリーンボンド発行に踏み出す考えを述べた。

 


  世界の主要都市は、環境先進都市を目指して競っている。すでにパリ市をはじめ、欧米の主要都市は都市内の低炭素化を進める資金調達手段としてグリーン・マニ・ボンド(グリーン自治体債)を、数年前から発行、日本の機関投資家も大量に購入している。

 

 小池知事は「日本の機関投資家の資金でパリの環境がよくなるということですが、東京都でこれを行うことで、皆さんのお金が東京で生かされ、東京の環境先進都市実現に近づく」と指摘した。都では環境事業に対する都民のオーナーシップ意識を喚起したいとしている。

 

 債券は三菱UFJモルガンスタンレー証券、大和証券、野村証券、みずほ証券、SMBC日興証券の各金融機関が販売を担当する。

 

http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2016/10/21/05.html