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関西電力 兵庫県・赤穂市での重油火力発電の石炭火力転用を断念。電力需要の低下と温暖化対策の進展を意識。計画中の石炭火力発電の中止は初めて。環境NGOは歓迎の声明(RIEF)

2017-02-02 19:39:37

akoukaryokuキャプチャ

 

 関西電力は、兵庫県赤穂市にある重油・原油を燃料とする同社の赤穂火力発電所を、石炭火力に変更するための改造計画を断念、現行のままとすると発表した。電力利用者の節電意識の定着や省エネの進展で電力需要が減少していることや、温室効果ガス削減対策強化への対応などを理由にあげている。

 

 赤穂発電所は60万kWの重油・原油を燃料とする発電設備を2基備えている。1987年の稼動で、今年で30年が経過する。2015年3月に石炭火力発電への転換を発表、同年11月に兵庫県に対して環境影響評価概要書を提出していた。

 

 関電の石炭火力転換計画の中止決定を受けて、環境NGOの気候ネットワーク(KIKO)は、現在、日本国内では48基もの石炭火力新設計画があるなかで、初めての計画中止となる点を評価し、「電力需要の低下、気候変動対策の要請を理由とした今回の判断を歓迎したい」と前向きにとらえている。

 

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 現行の重油・原油を燃料とする火力発電も、CO2や大気汚染物質を排出する汚染源に変わりはない。しかし、すでに設立後30年の同発電所を新たに石炭火力に転用すると、今後、数十年の長期にわたってCO2等の排出が続き、環境汚染の度合いは激化する。

 

 石炭火力のCO2排出量は、石油の1.24倍、液化天然ガス(LNG)の2.29倍とされる。また関電の燃料転換計画に対し、地球温暖化への影響を重くみた近隣住民の一部が反対運動を続けてきた。昨年3月には井戸敏三兵庫県知事が関電に対して、CO2排出量の削減強化や、既存設備の効率性の向上、住民への積極的な情報公開などを求めた意見書を提出している。

 

 KIKOは、関電の決定を歓迎する一方で、関電グループが赤穂以外に、6基の石炭火力発電の新増設計画を推進しているほか、今回の2基を除いても、他の電力を含めると45の新増設計画(1基は稼動済み)があることに懸念を表明している。

 

 温暖化対策上の理由だけでなく、日本の節電・省エネの進展により、日本の発電電力量は東日本大震災の前から、すでに12%も低下している。今後、再生可能エネルギー発電がさらに増大することなどを合わせ考えると、電力会社が推進する石炭火力増設計画は、経済合理性を欠く結果に終わる可能性もあると指摘している。

http://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2017/0131_3j.html

http://www.kikonet.org/info/press-release/2017-01-31/akoh-cancel