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南アフリカの高裁、政府によるロシアからの原発購入計画を「違法、違憲」として破棄の判決。政府全面敗訴(RIEF)

2017-05-01 22:35:31

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  南アフリカのWestern Cape高等裁判所は、ロシアとの間で事前合意していたロシア製の原発購入手続きについて、「手続きが違法であり、違憲である」として、破棄する判断を示した。政府は2014年後半に、当時のエネルギー大臣がロシアのRosatomから原発を購入することで合意していた。

 

 南アはアフリカで唯一原発保有国。ケープタウンから北約30kmのクバーグ(Koeberg)に1984~85年に稼働した2基のPWR(各94万kW)がある。今回の原発計画はさらに原発発電を拡大するため、電力会社Eskomがロシア製原発を導入することを内定していた。ロシアとの政府間協定により、発電出力9600MWの原発を導入する合意を結んでいた。

 

 しかし、ロシアからの新規原発購入計画は、2015年10月に当時のエネルギー大臣Tina Joemat-Pettersson 氏が議会に諮る前に、ロシア側と協議していたことが発覚、違法だとして環境団体のEarthlife Africaから提訴していた。環境団体は、日本の東京電力福島第一原発事故を踏まえた安全対策の不備も指摘してきた。

 

 同原発については、経済学者などからも、景気低迷下にある同国経済にとって、1兆ランド(約760億㌦)の原発新設は負担が大きすぎる、との指摘も出ていた。

 

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 政府の原発政策を正面から問う形の訴訟を担当した同高裁裁判長の Lee Bozalek氏は、明確に「政府の敗訴」に軍配を上げた。判決では、「2015年のエネルギー大臣の決定は、議会を無視したもので、違法であり、違憲である」と断じた。そのうえで、原発購入手続きを進めるすべての提案や要求は、ロシアとの協力協議とともに無効である、とするとともに、米国などとの協議についても同様とした。

 

 勝訴したEarthlifeの担当者は、「この判決の意味は、政府は国民に対して、アカウンタビリティ(説明責任)を持つということだ。原発問題は、大海の一滴でしかない。しかし今回の原発計画は南アフリカにとって、政治、経済の両面で一段と大きな危機につながる可能性がある。エネルギー問題を考える際、特定のエリート層に利することではなく、国民全体の利益を考えるべきだ」と指摘している。

 

 高裁の決定に対して政府が控訴するかどうかは不明。Eskomとエネルギー省もコメントを控えている。

http://ewn.co.za/2017/04/26/western-cape-high-court-rules-sa-nuclear-deal-unlawful-and-unconstitutional