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自治体主導の電力会社、すでに31自治体に拡大。「検討中」も86自治体。導入の体制整備も進む(各紙)

2017-08-14 23:13:20

jichitai2キャプチャ

 

  各紙の報道によると、企業・個人向けに電力を小売りする新電力事業を実施している自治体が全国で31に達し、検討中の自治体も86を数えることが、わかった。エネルギーの地産地消の推進と、地域社会の活性化をつなげる狙いがある。

 

写真は、先駆的に自前の電力会社を設立した福岡県みやま市の「みやまスマートエネルギー」のサイトから)

 

 朝日新聞が一橋大学などと連携して全国の47都道府県と1741の市区町村を対象に、調査を実施し、報道した。朝日などは2014年にも市区町村を対象にした調査を行っており、今回は都道府県も対象に含めて調査を実施した。

 

 電力事業については、昨年4月に電力小売り市場が完全自由化され、民間企業の参入が相次いでおり、自治体の参入も増えている。また2012年7月に再生エネルギー発電を普及するために導入された固定価格買い取り制度(FIT)から5年が経過したこともあり、改めて地域での自治体電力の動向を調べた。回答はすべての都道府県と、1382市区町村(回答率79%)からあったという。

 

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 自治体が中心になって新電力企業を設立したケースは、山形県や福岡年みやま市など31自治体を数えた。また「検討中」と回答したのは、京都府や札幌市、横浜市など86自治体に上った。電力サービスの公共性が自治体の業務にマッチするほか、地域の雇用増が見込める点、自治体が抱える公共施設の電気代低減といった経済的な理由が多い。また災害で既存電力網が停電した際にも「自家発電」できるメリットもある。

 

 発電の電源として、自治体の公共施設の屋根に太陽光パネルを置くなど、自前の再生エネ設備を持つのは全体の77%の1059市区町村で、前回調査時の985市区町村(57%)から大幅に増えた。再エネ設備を設置できる空間を自ら抱えているという自治体の有利な点への認識が広がっていることがわかった。都道府県の回答でも、47都道府県中44の都道府県で、自前の再エネ設備を保有していることがわかった。逆に、自前の施設を生かしていない自治体がどこなのか、報道してもらいたい。

 

 市区町村で再生エネの利用を推進していると答えたのは81%。前回の78%からは微増だったが、推進のために必要な条例の整備や計画、要綱を持つのが37%で、前回の16%から倍増した。具体化のための政策が整いつつある。都道府県は約9割で再生エネの導入目標を持つとした。

 

 ただし、再エネ発電のすべてが地域に「優しい」わけでもない。太陽光パネルによる光の反射問題、森林地帯に設けられる太陽光パネルや風力発電の風車等が景観を損なうという問題もある。また風力発電の場合、発電に伴う低周波の「騒音」問題も地域社会で指摘されている。こうした地域住民と再生エネ設備をめぐるトラブルは、解決済みも含め31道府県(66%)、350市区町村(25%)が経験しているとの回答も寄せられた。

 

 今回の全国的な調査を担当した朝日新聞と一橋大学は、どの程度、再エネ電力を導入しているのか。この点もつまびらかに情報を開示してもらいたい。自治体の動向を調べるだけではなく、「櫂より始めているのか」ということ。

http://digital.asahi.com/articles/ASK8F5FS8K8FULBJ002.html