HOME |米国の企業、自治体、大学等の2500以上が「We Are Still(我々はパリ協定にとどまる)」 キャンペーンに署名。COP23にも参加。「連邦政権が離脱しても市民・地域・ビジネスは協定を推進」と(RIEF) |

米国の企業、自治体、大学等の2500以上が「We Are Still(我々はパリ協定にとどまる)」 キャンペーンに署名。COP23にも参加。「連邦政権が離脱しても市民・地域・ビジネスは協定を推進」と(RIEF)

2017-11-06 11:46:40

WSIキャプチャ

 

 6日からドイツ・ボンで開く国連気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)に、トランプ大統領がパリ協定の離脱を宣言した米国の官民の団体が、大挙して“参加”する。州や市町村の代表、企業、大学、教会など2500以上の機関が、「 We Are Still In (declaration)」キャンペーンに署名した。COP23にも独自のパビリオンを出展して、パリ協定を尊重する米機関の存在をアピールする。

 

 「We Are Still In」キャンペーンは、6月5日に宣言され、現在までに、アップル、アマゾン、グーグル、フェースブック、ウォルマート、ブルームバーグなど1700以上の企業のほか、カリフォルニア、ニューヨーク、マイアミなどの9州、230以上の市やカウンティ、320以上のの大学・カレッジ、教会、先住民族などが署名。署名数は2500以上、人口にして1億3000万人、米経済の6兆2000億㌦分をカバーする。

 

 署名機関は、パリ協定にて適合した気候変動対策を今後も続けていくことを共同で宣言している。宣言では、パリ協定締結の成功は、各国自身が自らの削減目標を立案し、それを達成するための自らの戦略を取り入れる方式をとったからだ、と評価。さらに各国は、域や州レベルの自治体の率先活動を受けて、気候変動対策が経済的利益や住民の健康改善に重要であることに気付いた、と述べている。

 

 協定への評価の一方で、トランプ政権の離脱宣言は、こうした気候変動に立ち向かう重要な柱を傷つけ、気候変動の危機とコスト上昇を避けようとする世界の取り組みにダメージを与えるもの、と米政権の姿勢を厳しく批判。そうした行動は米国内で気候変動によって起きている事態とも整合しない、と指摘している。

 

 WSI2キャプチャ

 

 そして、連邦政府がどんな政策を取ろうと、地域、各州、ビジネス、大学等は温暖化ガスの排出量を劇的に削減する第一義的な責任を負っている、とし、米国は排出削減のグローバルリーダーにとどまる、と決意表明している。協定を実現する「アクター(行動者)」は、(ホワイトハウスではなく)、町の市民ホール、州都、カレッジや大学のキャンパス、そしてビジネスと投資家の中にいる、と述べている。

 

 COP23での「We Are Still In」のキャンペーンは、「U.S. CLIMATE ACTION CENTER」と命名したパビリオンを開設する。9日に、インディアナ州カーメル市長のJames Brainard氏やカリフォルニア大学のEnergy and Sustainability担当副学長の David Phillips氏らがキックオフ・ミーティングを開き、キャンペーンをCOP23参加者に知らせる。さらに期間中、複数のイベントを展開する予定だ。

 

 そのうえで、11日、元ニューヨーク市長のMichael R. Bloomberg氏、カリフォルニア州知事Jerry Brown氏らが顔をそろえて、「America’s Pledge」のスタートを宣言する。同キャンペーンには、環境NGOのCeers、Environmental Defense Fund、WWF、CDP、C40等、多くの米国内外のNGOや非営利団体も支援を表明している。

 

 国連気候変動枠組み条約の前事務局長のChristiana Figueres氏は「パリ協定はあらゆる人々にとっての取り決めだ。国だけでなく、自治体やビジネス、非営利団体等を含めたグローバルな市民社会をすべて対象とする。トランプ大統領が離脱表明で、このプロセスを揺るがそうとしているが、米国に追随しようという国はなく、全くドミノ現象は起きていない。逆に、大統領の行動が、We Are Still Inのような、草の根からパリ協定を支援する素晴らしい活動を生み出したともいえる。こうした動きは、今回のCOPを推進する大きな力になるだろう」と評価している。

https://www.wearestillin.com/about