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英大手ISO認証機関ロイド・レジスター・クオリティ・アシュアランス(LRQA)が認証で不正。無資格者による審査、手続き省略等(各紙)

2018-07-23 10:49:11

LRQAキャプチャ

 

  各紙の報道によると、工業製品の品質やその管理体制等の基準を定める国際規格のISOや国家規格JISなどの認証機関である英国の「ロイド・レジスター クオリティ・アシュアランス・リミテッド(LRQA)」日本支店が、不十分な審査で企業に認証を与える不正をしていたという。LRQAは企業の社会的責任(CSR)やESGの第三者検証等も行っているが、自らの社会的責任の不備を露呈した形だ。

 

 朝日新聞が報じた。LRQAは世界120カ国で6万件以上の審査登録業務を手がける英国の大手機関。1985年に、国際的に有名なロイド・レジスター・グループの100%出資で設立された。日本を含め、 世界の48カ所にオフィスを持つ。企業価値を財務実績だけでなく、企業の品質・環境・安全等の面からのリスク管理に認証を与えるサービスを展開している。

 

 朝日新聞によると、同社は昨年、航空・宇宙関連企業3社から依頼を受け、品質管理の仕組みを定めるISO9001に、航空宇宙産業で必要な項目を追加した規格JISQ9100に関する審査を実施した。その際、複数の韓国人審査員が審査を担当したが、経歴が不十分で無資格だったり、所定の訓練を受けていなかったりする人物が含まれていたという。また審査員がまとめた報告書が適正かどうかをチェックする工程を省略した不十分な審査も複数見つかった、としている。

 

 朝日新聞は入手した内部資料において、LRQAの日本支店の代表者(当時)はこうした審査の手続きが不十分なまま、依頼を受けた企業に認証文書を発行していたことを、了承していたとしている。

 

 今回の事態に対して、認証機関が適正に活動しているかをチェックする公益財団法人日本適合性認定協会(JAB)が問題を把握し、意図的な不正で重大な悪質性があった、と結論づけた。同協会はLRQAに対して、認証機関としての認定を取り消す処分を今月12日に出した。処分をしたことはホームページで同19日に公表したが、機密情報にあたるとして詳しい処分理由は説明していない。

 

 協会の処分には審査業務を停止させる強制力がないため業務は継続できる。ただ、LEQAは6月、JISQ9100の認証業務から撤退すると表明した。

 

 またLRQAは昨年11月に、アルミ製品の検査データ改ざんが発覚した神戸製鋼所大安工場(三重県いなべ市)に対し、JISとISOの認証を一時停止する処分を出していた。銅管を製造する北九州市の神鋼子会社についても、今年2月にJISとISOの認証を取り消している。

 

 LRQAは23日、ホームページ上で、「現在社内で事実確認作業等を行っております。その結果に関しては判明次第ホームページで更新して参ります」との古澤卓万日本代表のコメントを掲載している。

 

 今回不正があったと報道されたISO9001とJIS9100は品質マネジメントシステムに関する規格。ISOにおいては、世界で最も普及しているマネジメントシステム規格とされ、世界170ヵ国以上、100万以上の組織が利用しているという。同規格は、品質マネジメントシステムの要求事項として、①一貫した製品・サービスの提供②顧客満足の向上、の2点を定めている。

https://digital.asahi.com/articles/ASL7Q54RQL7QULFA007.html?iref=comtop_8_01

http://www.lrqa.or.jp/news/2018/2018-07-lrqajp-news.aspx