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商船三井、事業会社初の個人向けグリーンボンドを含め、100億円のグリーンボンド発行。GBPに準拠(RIEF)

2018-08-23 14:54:18

shousen4キャプチャ

 

  海運大手の商船三井(東京都港区は、国内市場で同社として初のグリーンボンドを発行する。機関投資家向けと個人投資家向けにそれぞれ50億円ずつで、合計100億円の発行額となる。個人向けグリーンボンドは東京都が発行したことはあるが、一般企業の発行は今回が初めて。セカンド・オピニオンはVigeo Eirisが、国際基準のグリーンボンド原則(GBP)への適合を評価した。

 

 機関投資家向けは今月中に発行する。個人向けグリーンボンドについては「商船三井ブルーオーシャン環境債」とネーミング、9月に発行の予定。いずれも5年債で、資金使途は同社が策定したグリーンプロジェクトに充当する。引き受け主幹事は、大和証券と野村證券の2社。このうち大和は、グリーンボンドフレームワークの策定などの発行支援を担当するグリーンボンド・ストラクチャリング・エージェントも務めた。

 

SOxスクラバー装置
SOxスクラバー装置

 

 同社では2017年4月、「商船三井グループ環境ビジョン2030」を策定し、経営計画「ローリングプラン2018」でも、環境・エミッションフリー事業をコア事業の一つに育てることを掲げている。「環境ビジョン」では、グループとして輸送単位当たりの温室効果ガス排出量を2014年度比で2030年までに25%削減、2050年までに50%削減する目標を公表している。

 

 資金使途の主な内容は、保有船舶へのバラスト水処理装置の搭載、船舶の排ガス中に含まれる硫黄酸化物(SOx)除去のためのSOxスクラバー装置の導入、LNG燃料船、船舶のプロペラ効率を改善して燃費効率を高める新型PBCFの導入などを予定している。

 

プロペラの効率を改善する新型PBCF
プロペラの効率を改善する新型PBCF

 

 セカンドオピニオンを付与したVigeo Eirisは、両ボンドが国内市場向けではあるが、環境省が国内向けに制定したガイドラインではなく、国際基準のGBPと、Vigeo Eirisの独自のESG評価への適用を評価した。ESG評価では、4段階の評価のうち、EとSはそれぞれ上位から2番目の「良好」と評価、Gについては国際基準としては「限定的」、国内基準としては「良好」の評価を与えた。Vigeoは日本企業のコーポレートガバナンスのパフォーマンスは他の国に比べて劣っていると評価している。

 

 今回、個人向けのグリーンボンドも発行することについて、商船三井では、「これまでも、環境規制への対応や環境負荷低減に向けた取り組みを、ビジネスチャンス、差別化の機会と捉え、優れた環境技術の積極的採用や、新技術の開発に果敢に挑戦してきた。商船三井の環境に対する積極的な取り組みについて、幅広いステークホルダーの皆様に理解を深めていただくため」と説明している。

 

 これまでわが国で発行された個人向けグリーンボンドは、東京都が昨年12月に、豪ドル建ての5年債100億円分を発行した事例がある。都の個人向けグリーンボンドの場合、都内、千葉、神奈川の首都圏在住、または在勤・在学の個人等を対象として発行した。商船三井の場合は、地域を限定せず、個人投資家に販売する予定。http://www.zaimu.metro.tokyo.jp/bond/tosai_news_topics/news_topics/gb291026.pdf

 

http://www.mol.co.jp/pr/2018/18063.html