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温暖化で加速した今年の自然災害、10億㌦以上の損害発生15件。損害総額1400億㌦(約15兆円強)、死亡4572人。日本の台風被害も「まずまず」どころか「甚大で悲惨」(RIEF)

2019-12-27 23:54:43

CA3キャプチャ

 

 今年、世界で起きた気候変動による被害額10億㌦以上の大規模災害が少なくとも15件が発生した。さらに100億㌦以上の損害額にのぼった災害が半分以上を占めた。日本の台風19号の被害総額は150億㌦で、米カリフォルニア州の山火事被害額(250 億㌦)に次ぐ大規模損害だった。英慈善団体クリスチャン・エイド(Christian Aid)が公表した。

 

 (写真は、猛威を奮った米カリフォルニア州の山火事)

 

 温暖化の影響で加速し、激化した自然災害は、洪水、強風、干害、山火事等を含め、地球上の6大陸すべてで発生した。今回10億㌦以上の被害案件としてカウントした15件合計の被害総額は約1400億㌦(約15兆2600億円)。亡くなった人は4572人。

 

 報告書をまとめたクリスチャン・エイドは、損害額は過少に見積もられている、と指摘している。金銭的な損害額は保険金支払い額に限定しており、人的被害額も途上国では低くはじかれている。これらを勘案すると、実際の被害額はもっと大きくなる、と指摘している。

 

中国の洪水被害
中国の洪水被害

 

 金銭的損害額がもっとも多かったのは10月~11月にかけて米カリフォルニア州の山火事だ。総額250億㌦、次いで日本を10月に襲った台風19号被害の150億㌦。日本は9月の台風15号でも50億~90億㌦の損害額を計上しており、両方を合わせるとカリフォルニアの山火事に相当する損失額になる。

 

A year of climate breakdown
A year of climate breakdown

 

 人的被害で最も多かったのは、6月から10月にかけて北インドで発生した洪水。インドやバングラデシュで約1900人が死亡した。次いで3月のアフリカ南部のサイクロンIdaiによる被害の1300人。日本は両台風の犠牲者合計で101人で、上位5番目の被害を出した。

 

 日本の台風被害では、自民党の二階俊博幹事長が19号襲来後、「まずまずで収まった」と発言し、物議を醸した。グローバルな被害比較をみると、損害額、人的被害とも、「まずまず」どころではなく「甚大で悲惨な被害」だったことがわかる。

 

 温暖化の影響に極めて鈍感なこの政治家は、「まずまず」発言を批判されると、すぐに撤回した。だが、問題への認識を問われると「言葉尻を捉えてうんぬんしても災害復旧は始まらない」と改めて居直った。その復旧活動は十分に進まないまま、避難先で年を越す人も少なくない。貧弱な政治のせいで、被害回復はさらに遅れる。

 

9月の洪水で被害を受けた大量の自動車(スペイン)
9月の洪水で被害を受けた大量の自動車(スペイン)

 

 今回の調査は、現在、記録的な勢いで広がっているオーストラリアの森林火災はカバーしていない。同火災を含めると、被害総額は損害額、人的被害の両方とも、かなりの規模で増大するとみられる。同国のモリソン首相も、温暖化に鈍感な政治家として知られる。

 

 報告書の共同執筆者のKat Kramer氏は「地球全体のGHG排出量は引き続き増大している。温暖化は明らかに加速しており、各国はできるだけ早くパリ協定で約束した温暖化対策の実行を急ぐべきだ」と指摘している。トランプ米大統領を含め、鈍感な政治家たちが、温暖化対策の促進を阻んでいる。

 

https://www.christianaid.org.uk/sites/default/files/2019-12/Counting-the-cost-2019-report-embargoed-27Dec19.pdf