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世界最大の保険会社の独アリアンツ、石炭関連収入が全体の25%以上の企業向けの保険引き受け22年末に全面停止。投資対象も強化。エネルギー企業の脱炭素への移行促す(RIEF)

2020-05-06 00:15:33

Allianz1キャプチャ

 

  世界最大の保険会社であるドイツのアリアンツ(Allianz)は、エネルギー関連企業の脱炭素への移行(Transition)を促すため、石炭火力や石炭関連事業からの収入が25%以上ある企業からの保険引き受けを2022年末ですべて停止、その後15%に引下げ2025年末の達成を目指すと公表した。これまでは30%以上の企業を対象に2040年を停止目標としていたが、大幅に前倒しする。また投資対象も現行は収入比率30%以上を対象外としているが、22年末までに25%に引き下げ、2040年にはゼロ%とする。

 

 アリアンツは、今回のエネルギー企業の移行促進策について、「石炭から確実に移行する戦略を実現できない企業は、わが社の保険ポートフォリオから除外する計画を明確にした」と説明している。そのうえで、保険・投資対象先企業の移行を促進することを自らの気候環境目標と位置付け、他の企業や国際機関、市民団体等との協力を進める考えを示した。

 

 アリアンツは2年前の2018年5月に、石炭依存度の高い企業(収入比率30%以上)の石炭火力発電所や石炭関連事業向けの保険引き受けと投資を、いずれも2040年までに停止する方針を打ち出した。今回、対象企業の収入比率を25%以上に引下げて2022年末までの実施と早めた。さらに石炭火力発電量について5GW以上、石炭鉱業は25%以上の収入比率と年間石炭産出量5000万㌧以上の除外基準に切り替えた。https://rief-jp.org/ct6/79172

 

 保険引き受けの収入基準は今後も段階的に強化する。今回強化した25%基準も、2025年末には15%に引き下げる。最終的には2040年にゼロ%とする予定だ。

 

 投資基準も強化する。投資先企業が直接あるいは間接的な支配(最小50%の株所有)合計の収入比率規制が30%以上の場合、現行の投資対象外としているが、これを2022年末には25%に引き下げる。また当該企業の石炭火力発電量が0.3GW以上抱える場合も投資対象外とする。石炭鉱業も同様に22年末から25%以上の収入比率を適用する。

 

 また個別プロジェクトについては、石炭火力発電所や石炭鉱業、石炭積み出し港等の石炭関連インフラへの直接投資は引き続き行わないとしている。

 

 アリアンツは今回の石炭関連事業に対する保険引き受けと投資事業の厳格化について、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の1.5℃目標シナリオに沿って『Allianz Coal Phase-Out』方針を立案した。収入基準等の基準の強化はこの1.5℃シナリオに適合している」と説明している。

 

 ドイツの環境NGOのUrgewaldのエネルギー・キャンペーナーのRegine Richter氏は「アリアンツは今回の発表で、『石炭には未来はない』ことを明確にした。アリアンツは今や、大きなギャップを超えた。石炭問題での典型的な役割を果たすことになる」と評価している。

 

 欧米の保険会社ではアクサ(仏)、チューリッヒ(スイス)等が同様に石炭関連企業向けの保険引き受けや投資の制限を明確にしている。日本の場合、日本生命や第一生命等の生命保険会社は投資対象から新規石炭火力発電事業等を原則除外する方針を明確にしているが、損害保険各社は、保険引き受け、投資とも明確な「脱石炭」方針を打ち出していない。https://rief-jp.org/ct1/86445

 

https://www.allianz.com/content/dam/onemarketing/azcom/Allianz_com/responsibility/documents/Allianz-Statement-coal-based-business-models.pdf