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オランダの大手金融グループのING  米先住民が反対を続ける石油パイプラインの「ダコタ・アクセス。パイプライン(DAPL)」向け融資を初めて売却(RIEF)

2017-03-24 01:16:57

ING1キャプチャ

 

 オランダの大手金融グループのINGは、米国先住民が建設に反対している米石油パイプラインのダコタ・アクセス・パイプライン(DAPL)向けの融資債権を、他の金融機関に売却すると公表した。融資銀行団には日本の3メガバンクも名を連ねているが、融資引き揚げを公表したのは初めて。INGが貸出債権をどこに売却したかは公表されていない。

 

 DAPLの建設資金は、17の金融機関が総額25億㌦をプロジェクトファイナンス方式で融資している。金融機関の中には、シティバンクなどの米銀のほか、日本の三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクや欧州系の銀行なども参加している。このうちINGの融資分は1億2000万㌦分。

 

 DAPLはノースダコタ州から、サウスダコタ州、イリノイ州をつなぐ全長1886kmの原油パイプライン。ノースダコタ州の石油を運ぶ事業で、すでに9割以上が完成している。しかし、パイプラインがミズリー川を堰き止めて作った人造湖のオヘア湖の下を潜り抜ける計画のため、水質汚染の懸念などが周辺の先住民族から示されている。

 

 計画に資金供給する金融機関は、大規模プロジェクトファイナンス事業に伴う環境・社会的影響を事前にチェックする「エクエーター原則」に署名している機関が大半であることから、INGなどはルートの変更の可能性を事業者に問うてきた。

 

 またノルウェーの資産運用機関KLP(Kommunal Landspensjonskasse)は、DAPL事業を推進する4企業への投資資金5億7800万ノルウェークローネ(約77億4500万円)の引き揚げを宣言している。先住民に対する人権侵害が理由。http://rief-jp.org/ct6/68379

 

ING’s head of Business Ethics Arnaud Cohen Stuart (left) and Chad Harrison from the Standing Rock Sioux Tribe shortly after their meeting in New York on 10 February.

(左はINGのBusiness Ethics部門の責任者である Arnaud Cohen Stuart氏、右はスタンディング・ロック」・スー族のChad Harrison氏)

 

 INGもすでに同様にDAPLの事業会社向けの株投資2億2000万㌦分は引き揚げ、今後の関連企業との取引は一切しない方針を突き付けてきた。しかし、トランプ氏が大統領に就任後、建設承認を決めたことから、事業者は当初計画を変更せずに完工させる姿勢をとっている。

 

 このため、INGは「われわれはDAPL事業への貸し手としての立場で、最初は事業に関連するすべての関係者の合意を得られるような方策を模索した。しかし、米政府から計画承認が出た以上、貸し手が事業に影響を及ぼす働きかけをするのは難しい」として融資を中止、貸出債権を他の金融機関に譲渡したという。

 

 INGの貸出債権をどの金融機関が引き受けたかは公表されていない。まさか日本の銀行が買ったわけえではないだろうが・・・

 

 

 またノルウェーの民間投資家のStorebrand、DNB銀行、共同ファンドのOdin Fund Managementも、DAPL計画の親会社などを資産運用の対象から除外すると決めている。

 

https://www.ing.com/Newsroom/All-news/ING-has-sold-its-stake-in-Dakota-Access-pipeline-loan.htm