HOME8.温暖化・気候変動 |温暖化の影響で、ホッキョクグマは今世紀末で絶滅。科学的データで分析。極域での海氷減少で餌をとれず、絶食期間が長期化、再生産能力が低下していく(RIEF) |

温暖化の影響で、ホッキョクグマは今世紀末で絶滅。科学的データで分析。極域での海氷減少で餌をとれず、絶食期間が長期化、再生産能力が低下していく(RIEF)

2020-07-21 16:03:27

Polarnbear003キャプチャ

 

 気候変動によりホッキョクグマが2100年までにほぼ絶滅するとの科学論文が20日、公表された。その結果、海氷の溶解によってホッキョクグマが食糧を得る期間が短くなり、種としての再生産が低下している。ホッキョクグマ絶滅の可能性は指摘されていたが、絶滅時期が科学的に示されたのは初めて。

 

 米保護団体の「ポーラベアズ・インターナショナル」と、カナダ・トロント大学等の研究者が気候モデルを活用して分析した。研究論文は英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)に掲載された。https://www.nature.com/articles/s41558-020-0818-9

 

 分析対象としてシベリアから北米にかけての北極圏域に生息する13の亜個体群を検証した。温暖化のペースがこのまま進むと、そのうち12の群れは2080年までに絶滅する見通しが得られた。

 

分析対象となった各生息地域の将来の変化
分析対象となった各生息地域の将来の変化

 

 温暖化の進行で北極圏の海氷が減少すると、ホッキョクグマは、海氷上に上がってくるアザラシを捕食する行動をとりづらくなる。このため多くのクマが陸上に移動せざるを得ず、またより小さな海氷に乗っての狩りをしても、アザラシの捕獲率が低下しているという。

 

 この結果、クマたちは餌を十分に食べることができず、絶食期間が長期化して体力を消耗していく。それによって再生産能力も低下、生息数の減少を続ける。研究では「絶食インパクト閾値(Fasting Impact thresholds)」を測定。北極圏の異なった地域で、すでに超過レベルに達していることを確認した。

 

 すでに悪循環に陥っている地域が複数ある。体重が減ることで餌がない期間を生き残る可能性が低くなるという。人間が引き起こした温暖化現象で、クマたちは腹ペコになり、やせ細って、死んでいく・・・。

 

https://www.nature.com/articles/s41558-020-0818-9

https://polarbearsinternational.org/news/article-research/when-will-polar-bear-populations-likely-start-collapsing/