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論文:「糖質系余剰作物を脱炭素化に活用する農業・環境融合政策の提案」(翠田 文・中谷 隼・菊池康紀・小原 聡)

2025-04-24 16:32:38

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写真は、糖質系作物の代表のサトウキビ畑)

 

     国内の糖質系作物(サトウキビ、甜菜)の生産は、従来の食料(砂糖)安定生産のための農業政策を越えて、余剰分の他用途への活用による脱炭素化の推進、農業の持続可能性、地域経済の強化といった課題を同時に解決する制度へと発展させる時期に来ている。

 

  (環境経済・政策研究』Vol.18,No.1,P57-62に所載

 

 本稿は、人口減少に伴う国内の糖質系作物における将来的な農業・食料政策の課題(生産余剰発生とそれに伴う農業の持続可能性)の解決策として、余剰糖質系作物からのバイオ燃料やバイオマスプラスチック等を生産するという「脱炭素化に向けた環境政策」との融合を提案している。

 

 具体的には、まず国内の糖質系作物の生産を長年支えてきた「糖価調整制度」(砂糖生産において、安価な輸入糖との内外価格差を緩和し国内生産を支援する制度)と糖質系作物の国内需給の現状と課題を示し、将来の糖質系作物の需給推計及び余剰分とその製糖副産物を活用した場合に生産可能な植物系由来の燃料や化学製品のポテンシャルを試算している。

 

 農業と環境の課題の同時解決に向けて、余剰生産物由来の最終バイオ製品の環境価値をLCA(ライフサイクルアセスメント)で定量評価し、それを経済的価値に変えて農業生産に遡って還元する環境政策によって、既存の農業政策である糖価調整制度を補強する。本稿では、以上のような全体を包括した農業政策及び脱炭素市場の形成を支援する役割を担う環境政策を提案している。

                     (翠田文)

 

「リンク先」

https://doi.org/10.14927/reeps.ron1801-007

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