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三菱UFJフィナンシャル・グループ、環境・社会ポリシー・フレームワークを改定。北極圏での石油・ガス開発やオイルサンド等への対応を明確化。石炭火力向けは改定せず前年同様(RIEF)

2020-05-14 14:44:44

MUFG1キャプチャ

 

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、環境・社会ポリシーフレームワークを1年ぶりに改定した。主な改正内容は、北極圏での石油・ガス開発やオイルサンド、大規模水力発電の3分野の事業へのファイナンスに際しての環境・社会配慮のデュージェリエンスを追加したほか、核兵器等の非人道兵器セクターへのファイナンスの禁止等を盛り込んだ。また2030年度までに自社調達電力を再エネ100%にすることも明らかにした。

 

 MUFJは昨年5月にも「ポリシーフレームワーク」を改定しており、今回はその一部を修正した形だ。内外で注目されている石炭火力発電事業へのファイナンスについては、みずほフィナンシャルグループ等が今年4月に超々臨界圧石炭火力発電(USC)を含めて新設の石炭火力事業への融資を行わない方針を示したことから、環境NGOなどはMUFGにさらなる取り組みの推進を求めていた。だが、今回の改定では前回通りを踏襲した。https://www.mizuho-fg.co.jp/release/pdf/20200415release_jp.pdf

 

 新たに対応方針を追加したのは①石油・ガス分野のオイルサンド②同じく北極開発③大規模水力発電セクター④非人道兵器、の4セクターへの対応方針。

 

MUFG12キャプチャ

 

 ①のオイルサンドについては、カナダ等の市場が中心だが、開発の過程での環境負荷の影響を考慮する必要があるとしたうえで、新規のオイルサンド開発へのファイナンスの実行を検討する際は、開発地域での生態系や先住民族の地域社会への影響等を確認する、と明記した。

 

 ②の北極圏開発へのファイナンスでは、欧米の主要金融機関が海底掘削等へのファイナンスの自粛方針を打ち出している。MUFGは北極圏(北緯 66 度 33 分以北の地域)が希少生物の生息地や先住民族への配慮等が必要な地域である、との認識を示し、同地域での新規の石油・ガス採掘へのファイナ ンスの検討の際は、開発地域での生態系や先住民族の地域社会への影響等を確認する、とオイルサンドと同様の表現を盛り込んだ。

 

 ③の大規模ダム向けファイナンスは、ダム壁の高さが15m以上で出力30MW以上を対象とし、水力発電が持つ治水や農業生産に貢献するインフラ機能、再エネとしてクリーンなエネルギーを供給する点に加えて、河川流域の生態系や住民の生活環境に広範囲に変化を及ぼす可能性がある、と指摘。新規の大規規模水力発電所へのファイナンスに際しては、生態系、地域社会や住民の生活環境への影響等を確認する、としている。

 

 非人道兵器セクター向けファイナンスでは、核兵器、生物・化学兵器、対人地雷を「非人道兵器」と特定。これらの製造を資金使途とするファイナンスは禁止対象にした。

 

 さらに昨年11月に、国際的プロジェクトファイナンス向けの環境・社会的配慮原則である赤道原則(エクエーター原則)第4版が決定したことを受けて、気候変動による物理的リ スクおよび移行リスクがプロジェクトに与える影響を評価するデューデリジェンスや、先住民族へのエンゲージメント強化策などをフレームワークにも盛り込んだ。新フレームワークは7月1日から適用する。https://rief-jp.org/ct6/96227

https://www.mufg.jp/dam/pressrelease/2020/pdf/news-20200513-002_ja.pdf

https://www.mufg.jp/dam/pressrelease/2019/pdf/news-20190515-001_ja.pdf