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三井住友フィナンシャルグループ、国連「緑の気候基金(GCF)」の認証機関申請を取り下げ。石炭火力事業融資へのアジアの環境NGOグループによる強い反対の声を受け(RIEF)

2020-08-24 12:53:44

FOEJ001キャプチャ

 

 環境NGOのFOE Japanは、三井住友銀行(SMBC)が国連の「緑の気候基金(GCF)」の認証機関への申請を取り下げた、と公表した。GCFの認証機関はGCFのプロジェクトやプログラムへの資金供給やマネジメント業務を担当できる仲介機関としての役割を果たす。しかし、アジア各国の環境NGOらから、「SMBCは石炭関連事業への主要な融資者だ」として、GCFに認証を認めないように働きかけが進んでいた。

 

 環境NGOによると、SMBCは取り下げの理由として「SMBCによる今回の申請について示された懸念を鑑みて、よりしっかり準備をして申請したい」との趣旨の説明をしている、としている。SMBC自体はこの件についてのプレスリリース等は現時点では出していない。同社は今回のGCF理事会への申請を見送って、2021年の次回GCF理事会まで対応を整理する考えとみられる。

 

 GCFの認証機関には2017年7月に、日本の三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と国際協力機構(JICA)が認められている。SMBCはこれらに続く認証取得を目指していた。MUFGとJICAの認証についても、当時、日本の環境NGOがGCF理事会に対して却下するよう要請していた。https://rief-jp.org/ct1/71100

 

SMBC2キャプチャ

 

 アジアの環境・社会NGOで組織するAPMDD(Asian Peoples’ Movement on Debt and Development)のコーディネーターLidy Nacpil氏は「私たちは今回の動きを歓迎する。今後も、引き続きSMBCの認証拒否を求めていく」とコメントしている。

 

 APMDDは、今回のSMBCの認証申請に抗議するキャンペーンをリードしてきた団体。同団体が主導する形で、8月21日までに69ヶ国の293団体(国際ネットワークを含む)がGCF理事らに対して公開書簡を送付、「途上国の石炭事業に長年融資を続け、世界第3位の石炭火力発電事業への融資者でもあるSMBCの認証申請に強い反対の意」を示していた。

 

APMMDキャプチャ

 

 書簡では、SMBCに対して、超々臨界圧技術を用いたいわゆるクリーンコールとする石炭火力発電事業に対しても、融資を行なわないと宣言することを求めるとともに、進行中の案件からの速やかに融資を引き揚げ、あらゆる石炭事業から完全に撤退することで、ビジネス戦略をパリ協定と整合させるという真のコミットメントを示すよう、求めている。

 

 NGOたちは、SMBCが、現在、ベトナムで計画が進んでいるブンアン2石炭火力事業への融資を検討中であるほか、インドネシアのチレボン2やバタンなどの石炭火力発電所への融資を継続していることを問題視している。またバングラデシュのマタバリ島での2件の石炭火力事業にもフィナンシャル・アドバイザーとして参画している。


 GCFは途上国の気候変動対策に資金供与を行なう最大の基金であり、UNFCCC(国連気候変動枠組条約)の主要な資金メカニズム。認証機関はプロポーザルを提出し、承認プロセスを経て、GCFからの基金を受け取り、管理するなどの役割を果たす。

 

 NGOらは、SMBCの石炭火力関連融資額が2017年から2019年にかけて、途上国を中心に80億㌦(約8400億円)に達していると指摘している。他の日本のメガバンクのみずほ、MUFGを含めると、融資額ランクの世界第1位から3位までを占め、3メガ合計で同期間中に393億㌦の資金を石炭火力事業支援に注いでいると批判している。

https://www.foejapan.org/aid/jbic02/va/200821.html