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デロイトトーマツグループのトーマツとSASが協業し、金融機関向けに気候適応リスクやパンデミック等の新たなリスクがポートフォリオに及ぼす信用リスクを評価するツール開発(RIEF)

2021-08-13 21:45:09

deloit001キャプチャ

 

  デロイトトーマツグループの有限責任監査法人トーマツ(東京)は、SAS Institute Japan(東京)と協業し、気候変動やパンデミック等の新しいリスクによって、金融機関が抱える融資ポートフォリオの融資先が受ける財務面の被害額を試算するサービスを開発、地銀等の金融機関向けに提供を始めた。

 

 トーマツは昨年から、COVID-19など新しいタイプのリスクが金融機関の融資先の財務諸表に及ぼす影響を、マクロ経済指標の予測やサプライチェーンにおける個社ごとの位置づけを織り込んだインパクト評価によって試算する統計予測モデルを使って、金融機関の予想信用損失のシミュレーションやストレステスト等に関する助言サービスを提供している。

 

 一方、SASは、複雑なシナリオ、モデル、科目階層構造を統合した財務シミュレーションの結果に基づいて金融機関の融資ポートフォリオの収益性やリスクを分析できるソリューションプラットフォームを金融機関向けに提供している。

 

 今回、こうした両社の協業により、気候変動に伴う水災の頻発、疫病の発生などの新たなリスクが金融機関の融資ポートフォリオの貸出先の財務諸表に与える影響をモデリングを通じて、信用評価を行うツールを開発した。これらのリスクは、発生頻度も少ないため、過去のデータや評価との比較が容易ではない。また将来生じた時の影響の評価も推計が困難という特徴がある。

 

 このため、多くの金融機関はそうしたリスクを十分に評価できないまま、現状では、ポートフォリオに抱え込んだままになっている。両社が開発した信用リスク評価ツールでは、気候変動に伴う自然災害のうち、建物等の担保物件に与える洪水等の物理的リスクに関する評価を反映させるため、GIS(Geographic Information System:地理情報システム)を応用した処理なども含むという。

 

 従来は、こうしたリスクの評価には、個別の設定やエンドユーザーの端末での特別のプログラミング処理が必要だった。だが、新サービスはシステム化された評価ツールを提供する。ツールでは提供されるシナリオを活用することで、ユーザーである金融機関が、より効率的、かつ柔軟に自らのポートフォリオのシミュレーションを行い、ポートフォリオのリスク管理等に活用できるという。

 

 両社が提供する「ポートフォリオ・信用リスク評価ツール」が搭載する主な機能は①リスク事象が貸出先財務や担保価値に与える影響のモデルロジック②貸出先属性(業種等)に応じたB/S, P/L構造③ポートフォリオの期待信用損失計測機能④地理情報を組み合わせたグラフを含む結果のビジュアライゼーション(ドリルダウンによる対話型分析機能)等。

 

https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20210813.html