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みずほフィナンシャルグループ、国際金融公社(IFC)と連携し、途上国の森林保全事業からカーボンクレジットを調達する「カーボンファシリティ」組成。日本企業の脱炭素経営支援(RIEF)

2021-08-11 23:59:14

Mizuhoキャプチャ

 

 みずほフィナンシャルグループは10日、日本企業の脱炭素化経営への切り替えで、需要の増大が見込めるカーボンクレジットを調達するため、世界銀行グループの国際金融公社(IFC)と「カーボンファシリティ組成の業務提携覚書」を締結した。IFCは途上国の森林保全プロジェクトからの自主的カーボンクレジット創出を進めており、みずほは同クレジットを日本企業向けに年間100万㌧以上の取引仲介を目指す。

 

 IFCが開発するカーボンクレジットを調達・販売を展開するため、みずほ側は、みずほ銀行、みずほ証券、みずほリサーチ&テクノロジーズの3社が連携する。IFCがボランタリー・カーボンクレジットを対象としたカーボンファシリティ組成で、民間金融機関と継続的な業務提携覚書を締結するのは初めてという。

 

 IFCがボランタリー・カーボンクレジットを創出する森林保全等のプロジェクトのソーシング(発掘・選定)および当該プロジェクトとの排出削減契約の締結を行う。そのうえで、みずほと設定するファシリティへ創出したクレジットを供給する役割を担う。みずほは、そのクレジットを取引先の日本企業に仲介するスキームを運営する。

 

IFC001キャプチャ

 

 カーボンクレジットには、EUの排出権取引制度(EU-ETS)のように、国等によって運営される義務的なCap&Trade方式で取引されるカーボンクレジット(コンプライアンス・カーボンクレジット)と、森林によるCO2吸収源等を民間の認証機関が評価・認証するボランタリー・カーボンクレジットがある。

 

 前者は、国の政策としての制度導入が必要。だが、後者はそうした制度がない中でも、低炭素・脱炭素を目指す企業が、自社の取り組みを補強するために、市場からクレジットを購入できる。わが国でも政策面での排出権取引制度導入の展望は、不透明な状態が続くが、企業は自らの炭素負荷を削減するため、ボランタリークレジット購入に取り組む動きが出ている。

 

 国内では、法的な排出権取引制度がない一方で、政府が行政指導ベースでの「J-クレジット」やJCM等の任意の制度を設けている。しかし、いずれも市場規模が小さいうえに、クレジットの認証制度等が国際的な基準に比べて課題があると指摘されている。

 

 これに対してIFCは、新興国や途上国等で進めている森林保全、エコシステム保全等に支援資金を拠出してCO2吸収によるカーボンクレジットを創出している。IFCの取り組みは、規模の面でも、クレジットの国際的な信頼性の面でも、日本のJ-クレジット等より高い。このため、みずほではグローバルビジネスを展開している日本企業を中心としてクレジットを提供できると判断している。

 

 かつて日本企業は、京都議定書期間で、途上国での再エネ・省エネプロジェクト等を対象としたクリーン開発メカニズム(CDM)クレジットの開発に取り組んだ経緯がある。だが、CDMはプロジェクト評価が複雑で、クレジット創出に時間がかかるなど、技術面・コスト面で十分に機能しなかった経験がある。今回のIFCとの連携は、かつてのCDMクレジット等の課題部分をIFCとの連携で解消できるとみられる。

 

 みずほは、2022年の早い時期の売買成立を目指して、クレジットの買い手企業を幅広く募るとしている。当面、対象と想定されるのは、温室効果ガス排出量の多い大手電力や海運会社などとみられる。大手電力は保有する石炭火力発電所の早期操業縮小が求められ、海運大手は国際海運事業のCO2規制への対応が課題だ。

 

 年間100万㌧以上の取引仲介を目指す。2019年の世界のボランタリークレジット市場では約1億㌧が取引されているので、1%分となる。海外市場では、クレジット価格はCO2㌧当たり数千円のレベルで推移している。2030年ごろまでに累計100億~200億円の取引を見込む。みずほでは、将来的に日本企業がクレジットの売り手になることも想定しているという。

 

https://www.mizuho-fg.co.jp/release/20210810release_jp.html

https://www.mizuhogroup.com/binaries/content/assets/pdf/mizuho-bank/news/2021/08/20210810release_eng.pdf