農林中央金庫、ドル建てで初のグリーンボンド発行。10億㌦(約1100億円)。内外の再エネ事業やグリーン輸送、同ビルディング等に充当。シンガポール証券市場に上場(RIEF)
2021-09-15 11:52:59
農林中央金庫は15日、同金庫として初となるグリーンボンドの発行を発表した。米ドル建てで、5年物と10年物、合計10億㌦(約1100億円)。22日に発行する。海外投資家向けで、シンガポール証券取引所に上場する。調達資金は再生可能エネルギー、クリーン輸送、グリーンビルディングの3つの環境事業分野に充当する。ドル建て発行により外貨資金の調達多様化に資する狙いもあるようだ。
発行額は5年物、10年物ともに5億㌦ずつとする。金利は5年物が1.284%、10年物が2.080%。グリーンボンドフレームワークについては、Sustainalyticsが国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則(GBP)への適合を付与した。
資金使途の3事業分野のうち、再エネ分野では、太陽光、太陽熱、風力(陸上、洋上とも)、バイオマスの各発電事業を想定している。太陽熱発電については、海外事業へのファイナンスを想定しており、発電容量の85%以上を太陽光エネルギーから得る事業としている。バイオマス発電は、サステナビリティ認証を得た森林からのペレット、チップ等を原料とするとしている。
クリーン輸送については、電動列車等のライトレールウェ―や電動の高速列車の製造・インフラ建設等を対象とする。対象事業からのCO2排出量は50g/p-km以下のものに限定する。グリーンビリディングについては、LEED ゴールド以上、BREEAM Excellent以上、CASBEE A以上、DBJ 4星以上、の認証を条件とする。
農中は中長期計画として、2030年までに投融資先の温室効果ガス排出量を半減(2013年比)させる計画を立てているほか、30年までに新規のサステナビリティローンや同投資を10兆円実施する目標を立てている。今回のグリーンボンドもそれらの目標達成に活用する方針だ。
農中は「JAバンク」を構成する全国の農協や信連から円資金を受け入れ、その大半を外貨に替えて海外市場での運用に充当している。21年3月末で市場運用資産約60兆円のうち半分が米ドル建て。外貨調達コストの変動で業績が振れやすくなっているとされ、今回のドル建てグリーンボンドの発行も、外貨調達手段の多様化の狙いもあるとされる。
https://www.nochubank.or.jp/en/news_release/uploads/2021/Second_Party_Opinion.pdf