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三井住友信託銀行、廃棄物発電からの余剰「再エネ電力」を活用した低コストの「グリーン水素」製造事業開発で関係企業と連携。2023年度にも実用化目指す(RIEF)

2021-10-05 11:58:59

asahipritechキャプチャ

 

   三井住友信託銀行は、廃棄物発電による再生可能エネルギー電力を利用した「グリーン水素」製造に向け、関係企業と連携してシステム開発や実証実験を始める。廃棄物発電の電力はコストが安く、グリーン水素の課題である低コスト化を可能にする。2023年度からの実用化を目指すとしている。

 

 (写真は、アサヒプリテックの廃棄物発電所=北九州市)

 

 三井住友信託銀行が連携するのは、アサヒプリテック(神戸市)、エフシー開発(茨城県日立市)、XScientia(東京)の各社。アサヒプリテックが運営する廃棄物発電所からの未利用電力を使って、水素と副産物を併産するシステムを開発することで水素の製造原価を大幅に低減できるという。

 

 同社は、2020 年に北九州工場 (福岡県)で同社第一号の廃棄物発電所を稼働させた。しかし同発電の場合、発電電力のすべてを送電網に接続できない課題があり、数百kWの電力が余剰になる。この余剰電力を水素製造に活用する。

 

廃棄物発電からのグリーン水素製造プロセス
廃棄物発電からのグリーン水素製造プロセス

 

 廃棄物電力からの副産物の併産が効率的に可能な水素製造システムはエフシー開発が担当する。同社は、2003年12月に茨城大学発ベンチャーとして、地元企業等と大学によって設立された。固体高分子形燃料電池の研究開発機関向けに、構成部材や発 電評価装置等を提供するほか、副産物を併産するための水素製造システムの基盤技術開発にも取り組んできた。

 

 X-Scientia(クロスサイエンティア)は、2019年12月創業の環境・エネルギー分野のベンチャー。併産価値の活用によるグリーン水素の製造原価の大幅低減のシステム化を担当する。

 

 三井住友信託銀行は2020年10月に環境・エネルギー分野の専門家集団 Technologybased Finance チームを社内に設立。同チームがX-Scientia と協業し、今回の事業化を推進してきた。今回の取り組みでは、23年の事業化を見据えた需要開拓、ビジネススキームの確立を担当する。

 

 本事業の最大のポイントは、廃棄物発電の未利用電力を活用することで、グリーン水素のコストダウンを図れることだ。連携企業は「今回のシステム開発と実証実験の成果を受けて、開発する安価な『グリーン水素』を製造・外販することで、水素の普及拡大に貢献し、温室効果ガスの排出削減につなげる」としている。

 

 水素の製造では、オーストラリア等で太陽光発電による電力からグリーン水素を製造し、日本に輸入するプロジェクトが進んでいる。また天然ガス等の火力発電電力で水素を製造し、発電工程で生じるCO2をカーボン回収使用貯留(CCUS)技術で相殺する「ブルー水素」開発も進んでいる。

 

 しかし、輸入グリーン水素の場合、製造・輸送コストが課題で、またブルー水素の場合は、CCSのコストや技術的課題等が指摘されている。これに対して、廃棄物発電の利用の場合、各地域で地産地消型での廃棄物処理と水素製造を循環させることができる期待がある。

https://www.smtb.jp/-/media/tb/about/corporate/release/pdf/210930-2.pdf