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金融機関の投融資先の温室効果ガス排出量算定の国際イニシアティブ「PCAF」の日本版、3メガバンクと資産運用機関等6機関で設立。地域イニシアティブとしては6番目。みずほが議長(RIEF)

2021-11-15 23:23:23

3PCAF00キャプチャ

 

 3メガバンク等の日本の大手金融機関が投融資先の温室効果ガス(GHG)排出量を算定する国際イニシアティブ「Partnership for Carbon Accounting Financials (PCAF)」の日本支部となる「PCAF Japan coalition」を設立した。PCAFが開発する世界共通の算定基準を、日本の会計基準や業種分類等に基づいて置き換える方法等を検討する。「PCAF-J」の議長には、みずほフィナンシャルグループが就任した。

 

 PCAFはパリ協定を契機に、オランダ主導で立ち上がった金融イニシアティブ。金融機関の投融資ポートフォリオを構成する資産クラスが欠けるGHG排出量を把握し、会計的に開示できるようにするための共通手法の開発を進めている。2021年11月現在、世界48ヵ国の商業銀行、投資銀行、保険会社、機関投資家等170以上の金融機関が加盟している。

 

 評価手法の開発対象となる銀行資産は①上場株と債券②企業向けローン③商業不動産④住宅ローン⑤自動車ローン⑥プロジェクトファイナンス、の6分野。開発した評価手法に基づいて資産ごとの削減目標を設定、削減を実行するための戦略を立て、行動に移し、その結果を情報開示する。その成果に基づき、さらに目標を引き上げ、行動を高めていくことを目指す。https://rief-jp.org/ct6/108384

 

6つのアセットごとに共通計測手法を開発へ
6つのアセットごとに共通計測手法を開発へ

 

 「PCAF-J」は基準となるPCAFの開発手法を、日本の金融取引に適合するように、業種分類の日本基準への読み替えや、投融資先のGHG排出量等の不足データへの対応、効率的なデータ収集方法の構築、様々なレイヤーでのGHG排出量の重複カウントの解消などの課題への対応に取り組む。取引先のGHG排出量開示を促進する共同のエンゲージメントも想定している。

 

 PCAFの地域イニシアティブとしては、すでにPCAF北米、PCAF欧州、PCAFアジア・太平洋等の5つのチームが設立されており、PCAF-Jは6チーム目となる。ただ、他の地域イニシアティブが複数の国々にまたがる地域連合であるのに対して、PCAF-Jは日本市場だけの取り組みとなる。

 

 PCAF-Jは、みずほのほか、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、ニッセイアセットマネジメント、野村アセットマネジメント、住友生命保険の計6社で構成する。みずほが21年7月に、日本勢で最初に参加したことから、日本チーム取りまとめ役を担う形だ。https://rief-jp.org/ct1/115894

 

  PCAFはTCFDが開示を求める気候リスクを、金融機関ごと、資産ごと、取引先ごとに、共通の基準で財務的に把握することが狙いだ。企業が抱える気候リスクの情報開示は、IFRS財団が国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の設立を決め、国際共通のフレームワークづくりが正式に始まったが、PCAFの基準は、そうした総合的なフレームワークに基づいて、保有ポートフォリオのGHG排出量(Financed Emissions)を把握するうえで、不可欠のツールとなる。

 

 議長に就任したみずほは「PCAFグローバル事務局からのサポートを受けつつ、参画機関及び金融セクターで経験・知見・課題の共有や連携を進め、投融資を通じたGHG計測・開示が本邦金融機関に広く普及・浸透するよう取り組みを促進していく」とコメントしている。

 

 みずほ自体、これまでPCAFの計測スタンダードを踏まえて、発電事業向けプロジェクトファイナンスを対象としたGHG排出原単位の計測・開示を行うとともに、現在はより幅広いアセット・セクターを対象に、PCAFの知見や排出係数データベースを活用してGHGの計測作業を手がけているという。

https://www.mizuho-fg.co.jp/release/pdf/20211112_2release_jp.pdf