日本政策投資銀行。今月中に、初のトランジションボンド発行へと報道。100億円分。資金使途先は示されず。同行が抱えるスコープ3(financed emissions)は増大(各紙)
2024-08-14 00:21:42
各紙の報道によると、日本政策投資銀行(DBJ)が今月中にも、日本の金融機関として初のトランジションボンドを発行するという。記事によると、発行額100億円で、債券の償還期間、表面金利等も記載しているものの、肝心の資金使途先については触れていない。日本政府が推進するグリーン・トランスフォーメーション(GX)政策に沿った資金に充当するならば、DBJが抱える温室効果ガス(GHG)のスコープ3(financed emissions)は増大する。だが、DBJは政府系金融機関のため意に介さない方針のようだ。
日本経済新聞電子版が報じた。それによると、国内金融機関によるトランジションボンド発行は初めて、としているが、海外の金融機関でも同ボンドの発行には懐疑的なところが多く、金融機関による同ボンドの発行としても「世界初」となる。ただし、世界初だと言ってもオリンピックの「金メダル」というわけではなく、グリーンへの移行途上企業・事業への資金提供のための資金調達なので、メダルの色は、「グリーンとブラウンの斑(まだら)」といった感じか。
同報道では、DBJが発行する同ボンドの償還期間は5年、表面利率0.511%としており、条件は既に設定済みのようだ。100億円分の債券は、都市銀行や独立行政法人、地方自治体などの投資家への販売を目指すとしている。DBJによる同ボンド発行は政府の政策と連動するものとみられることから、銀行や自治体は購入を拒めないとみられる。また資金使途先に移行途上の資産等が含まれることから、通常のグリーンボンドより、利回りは高めになるとみられる。
DBJは同ボンド発行による調達資金を、脱炭素化事業に取り組む企業の特定事業向けに融資する「トランジションローン」の原資とするか、あるいは、高炭素排出企業のサステナビリティ指標の改善を条件とする「トランジションリンクローン」のどちらかの融資方法で提供することになるとみられる。DBJは公的金融機関であるだけに、投資家や国民に向けて、明確な情報開示をしてもらいたい。
トランジションボンドの発行は、グローバル市場では日本勢がほぼ独断場の状況で発行している。今年上半期の発行状況では、日本政府がGX債を2月と5月に3回にわたって総額1兆9500億円(約129億㌦)を発行(7月にも3500億円分発行)したことで、昨年の同ボンドの年間発行額の31億㌦を大きく上回り、全体で143億㌦の発行額だった。しかし日本のGX国債を除くと、グローバル市場全体での発行規模は14億㌦でしかなく、前年同期比を下回っている。https://rief-jp.org/ct4/143702?ctid= https://rief-jp.org/ct4/147077?ctid=
トランジションボンドが海外で不人気で、日本だけある程度の発行が続く理由は、海外の投資家は脱炭素への移行が成功するかどうかが不明確な資金調達については発行体のリスクが高く、投資リスクも高いと判断するためとみられる。日本で政府自体が移行国債を発行するのはGX政策を推進するという政策的な意図を踏まえたものだ。日本の同政策が想定通りの移行成果を得られない場合でも、政府が税金で穴埋めをするとの「暗黙の了解」が銀行や投資家の側にあるとみられる。
しかし、仮に日本でも将来、政権が代わると、こうした「前政権の了解」は覆る可能性(政策リスク)もある。このため、海外の投資家の多くは「日の丸移行債」には手を出さないとされる。
(藤井良広)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB092N30Z00C24A8000000/?type=my#AAAUAgAAMA

































Research Institute for Environmental Finance