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財務省。2024年度のGX国債(クライメート移行利付債 : CTB)の発行額を2000億円減。発行回数も年4回に増やす。「売れ残り防止」で、資金使途からアンモニア混焼を再び除外か(RIEF)

2024-03-14 12:56:30

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 財務省は13日開いた国債市場参加者特別会合で、2024年度に発行するGX(グリーントランス・フォーメーション)経済移行債「クライメートトランジション利付債(CTB)」の発行方針を示した。5年債と10年債をそれぞれ2回に分けて発行し、総額1兆4000億円とする。23年度の発行分1兆6000億円よりも2000億円減額となる。一回の発行額も23年度に比べて半分以下。初回の発行では機関投資家等の反応が芳しくなかったことから、「売れ残り」を懸念して「少額発行」に切り替える形だ。

 

 同省によると、2024年度に発行するCTBは、23年度と同様、10年債と5年債とする。23年度は両債券を8000億円ずつ一回で発行したが、24年度はそれぞれを2回に分けて3500億円ずつ、合計で4回発行とする。10年債の初回発行は5月28日を予定する。2回目は10月に、5年債は7月と25年1月にそれぞれ発行する計画だ。

 

 財務省は23年度発行に比べて、発行総額を減らし、さらに両債券の発行を2回に分ける理由についての説明はしていない模様。23年度の発行については、海外投資家が懸念を示す石炭火力発電への水素・アンモニア混焼事業への資金充当を避け、海外IR活動でGX債の「グリーン性」を強調するなどのアピールを展開した。https://rief-jp.org/ct4/142731?ctid=69

 

 そうした「工夫」の結果、23年度発行のCTBは5年債、10年債とも、環境・社会性を評価するグリーニアム(グリーン性のプレミアム)が辛うじて付いたものの、日本で初のESG国債への信認としては極めてわずかでしかなかった。さらに販売した10年債の約4割はすでに、日銀の定例オペを通じて日銀保有に置き換わっており、投資家の人気の薄さを示している。https://rief-jp.org/ct4/143121?ctid=69

 

 また初回のCTBには国内の生命保険等からの「ご祝儀投資」もあったとみられるが、24年度以降はそうした投資は消える。こうしたことから、財務省は23年度と同規模の発行を続けると「売れ残り」が生じることを懸念して発行回数の複数化、一回当たりの発行額の小規模化等の「販売努力」を盛り込む判断をしたとみられる。

 

 一方で、発行額を圧縮することで、23年度からの10年間で20兆円発行を目指すGX経済移行債の発行計画が達成できない懸念が早くも生じている。20兆円の発行をこなすには、年間2兆円規模の発行を継続する必要があるが、23年度1兆6000億円、24年度1兆4000億円と、両年度とも2兆円ラインを下回ることになる。また投資家の人気が薄い状況が続くと、経済産業省が目指すアンモニア混焼等の既存電力会社支援の資金調達をCTBに盛り込むことは、さらに遠のくことにもなる。https://rief-jp.org/ct4/142818?ctid=69

 

 脱炭素に向けた市場の需給を無視して、化石燃料発電を優遇しようとする経産省主導の「いびつなGX政策」の矛盾が、早くも露呈しかけているようにも映る。

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbsp/press_release/240306.html