経済産業省。「電力広域的運営推進機関」に電力会社への融資機能付与し、原発等の発電・送配電事業支援で予算要求。財投資金活用。GX政策による脱炭素化ファイナンスと「重複(?)」(RIEF)
2025-12-11 02:45:56
経済産業省は10日、データセンター増設等による電力需要増や電源の脱炭素化等に対応するとして、同省の認可法人「電力広域的運営推進機関」に融資機能を付与し、発電・送配電事業を支援する構想を明らかにした。発電分野では原発の新増設を軸とし、送配電分野では再エネ導入に伴う系統の強化等を想定するという。原資となる資金は財政投融資計画から調達、民間金融機関の融資を前提に、融資額は総融資額の3割程度を上限とする案を示している。ただ、電源の脱炭素化等の政府の推進策では、すでにGX政策で、国債で調達した公的資金を原資に、GX推進機構が原子力関連も含む個別事業への補助金供給に加え、民間融資への信用保証でファイナンスする体制をとっており、経産省構想の実現には、GX政策との調整が必要とみられる。
同省は同日開いた総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の「電力システム改革の検証を踏まえた制度設計ワーキンググループ」(座長:山内弘隆・武蔵野大学経営学部経営学科特任教授)のとりまとめ報告で同省案を示した。2026年の通常国会で電気事業法など関連法の改正を目指すとしており、26年度予算の財政投融資要求で540億円を計上している。
同省によると、電力需要の増加に対応しつつ、安定供給を前提にして脱炭素化を進めるには、長期にわたり、再エネや原子力等の脱炭素電源や系統への大規模な投資が継続的に行われる必要があると指摘。だが、電力事業者は、投資資金の費用回収に長期間を要し、投資と回収期にギャップがある大規模投資を電気料金への影響を抑制しつつ行っていくことは容易でない、と課題を提起している。
そうした状況を打開するためには、脱炭素電力インフラへの円滑な投資に向け、市場・制度整備に加え、公的な信用補完の活用や政府の信用力を活用した融資等、ファイナンス円滑化の方策等を検討する必要があるとする。民間金融機関等が取り切れないリスクについて、政府の信用力を活用した融資等を提供する脱炭素投資に向けたファイナンス円滑化の方策等が必要としている。
特に、今後増加が見込まれる電力需要に対応し、十分な供給力を必要なタイミングまでに確保するには、様々な投資案件が、今後短期間に集中的に行われる必要があるが、大規模投資が複数重なることで、金融機関に、通常以上に多くの融資拡大の要請が行われ、民間金融のみで対応することが難しくなる可能性があるという。そのため、「政府の信用力を活用した公的融資の枠組みを整備することで、官民が協調し、民間融資を最大化していくことが必要」としている。
同省の「構想」は「電力需要の増加」⇒「供給力確保の投資集中」⇒「民間金融機関の融資力不足」⇒従って「公的融資の必要」、との論法だ。しかし、実需のある需要が増えるなら、追加供給力へのファイナンスは、融資に限らず、投資でも資金調達ができる。既存の大手電力の場合、これまでも社債(電力債)発行で、投資資金を調達してきたし、今もそうしている。電力会社の資金調達では、銀行融資はむしろ「従」の役割でしかない。
特に原発や、系統整備・強化等へのファイナンスは長期に及ぶものが中心で、ファイナンス期間が限定される融資よりも、長期の社債発行による調達が適している。既存電力会社の場合、プロジェクトファイナンスでの調達も限定的だ。だが、同省の「構想」では「広域機関」に付加するファイナンス機能での融資と投資との関係についての言及はない。
融資の場合でも、すでにGX推進機構に、民間融資を支援する信用保証の仕組みを導入している。GXの仕組みとどう切り分けるかの説明もない。GXとの関係では、同調査会の別のワーキンググループが、データセンター等の電力需要と脱炭素電源利用拡大に資するため、GXの枠組みで系統整備への融資制度を新たに設ける提言をしている。同提言では、GX実現に必要な系統整備への貸付として、①製造業の脱炭素化の観点では「GX戦略地域」の「コンビナート等再生型」②データセンター立地の観点では「GX戦略地域」の「データセンター集積型」の形成に必要な設備ーーと具体的に示している。
GXでの資金供給では足りないので、「広域機関」に追加でファイナンス機能を付加するということなのか。さらに言えば、日本政策銀行などの既存の公的金融機関のファイナンスとの関係についても触れていない。
GXでも電力ファイナンスを強化し、政投銀等の既存の取り組みも想定するならば、かなりの規模の電力供給力を確保できることになる。だがそれほどの電力供給力の構築が、今後の日本の経済社会にとって、必要なのかどうか。
むしろ、過剰投資や重複投資を避け、効率的で競争力を高める電力供給力を選び抜くことこそが、「電力システムの制度設計」の胆(きも)ではないのか。そのためには、既存の10電力会社の地域独占状態の枠組みを前提とした発想から脱し、米欧のように、発電事業と送配電事業を別会社化することで、公共インフラと競争環境の整備との並存型システムへ、移行するための複数の設計案を精査してもらいたい。
(藤井良広)
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/jisedai_kiban/system_design_wg/008.html

































Research Institute for Environmental Finance