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日本原子力発電の東海第二原発再稼働の安全対策費3000億円に倍増。東電が3分の2支援。日本政策投資銀行、みずほ銀行等が融資へ(各紙)

2019-03-02 15:27:20

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 各紙の報道によると、原発専業会社の日本原子力発電(原電)が再稼働を目指す茨城県の東海第二原発の安全対策工事費の約3000 億円を電力各社が債務保証の形で支援し、そのうち約3分の2を東京電力ホールディングスが負担することがわかった。原発への融資は日本政策投資銀行、みずほ銀行等がシンジケーションの形で主導する見通し。

 

 朝日新聞等が報道した。東海第二原発尾再稼働に必要な安全対策費は、東電福島第一原発事故後の安全対策強化を受けて、従来想定の2倍近い金額に膨れ上がる。東電が全体の3分2を実施負担するのは、東海第二から電力を受け入れているため。実質的に東電の電力でもある。

 

 原電では、東海第二原発の再稼働時期は2023年1月を想定している。だが、現時点では周辺自治体から再稼働の了解は得られていない。自治体の同意を得られないと、廃炉になるリスクがある。また、仮に政権が交代した場合、現在の野党は「脱原発」政策で共通化しており、政治リスクもある。

 

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  朝日新聞は「福島第一原発事故を起こした東電は、国費投入で実質国有化された。にもかかわらず、再稼働が見通せない他社の原発を支援することに批判が出るのは必至だ」と指摘している。

 

 安全対策費は、再稼働前と再稼働後の2段階で必要となる。まず再稼働前の2019年4月から22年末までに約1200億円が必要となる。この分の負担として、受電割合に沿って東電が8割の約960億円、東北電が2割の約240億円を負担する。東電は、東海第二から将来得る電気の料金の「前払い」と位置づけ、銀行からの借り入れで賄う見通し。東北電は前払いか、原電の銀行借り入れへの債務保証の形で支援する、としている。

 

 次の稼働後の安全対策費は、2023年1月~24年3月に必要な約1800億円。原電は、みずほ銀行等の銀行団から借り入れる。借り入れに対して東電が約960億円、東北電が約240億円、中部電など3社が計約600億円を債務保証する見通し。

 

 東電など以外でも、関電、中部電、北陸電は、原電の敦賀原発2号機(福井県、現在停止中)から受電していたことを理由として支援団に加わる。だが、敦賀2号機は原子炉建屋直下に活断層が存在していることが指摘されており、再稼働は難しく、受電の見通しは立っていない。このため、現実的には直接電気を受けない東海第二の支援に乗り出すことに対しては、株主らの反発を受ける可能性がある。

 

 原電は保有する原発4基のうち2基が廃炉作業中で、再稼働を見込める原発は東海第二しかない。東海第二が稼動できなければ、原電は収入源がなくなり、経営破たんの可能性が高まる。電力各社は、原電の出資者でもあることから、原電が破綻すると巨額の損失を被る可能性もあることから、横並びの支援体制を検討していた。

 

 金融機関の立場も問われる。原電には日本政策投資銀行をはじめ、民間銀行では、みずほ銀行が主導する形で11行が資金供給をしている。今回の安全対策費用への融資は電力各社の債務保証がある。とはいえ、融資を決める段階で、借り手企業の将来性に疑義が浮上している点をどう評価するかは、金融機関自身の融資姿勢に関わる問題となる。金融機関自身も株主から自らのガバナンスの是非を問われる可能性もある。

https://digital.asahi.com/articles/DA3S13916101.html

http://www.japc.co.jp/company/ir/ir_zaimu.html