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三菱UFJ銀行、チリで計画中の世界初の海水揚水発電所と太陽光発電所併設事業計画をアレンジ。チリのカーボンゼロ計画の象徴事業に(RIEF)

2019-07-10 08:01:49

Chili5キャプチャ

 

 三菱UFJ銀行は、チリ北部で計画が進む世界初の海水揚水発電所事業(PSH)と太陽光発電を組み合わせた自然・再生可能エネルギー事業の官民ファイナンスをアレンジする。事業総額10億9400万㌦(約1200億円)のプロジェクトは、チリが2050年を目標とするカーボンゼロ計画の象徴で、国連の「緑の気候基金(Green Climate Fund:GCF)」が支援する。

 

 同事業は、チリ北部タラパカ州の州都イキケの南方約100km地点のサン・マルコスという沿岸の町で計画中の「Espejo de Tarapacá (EdT・タラパカ計画)」。地元の電力会社Valhalla社が事業主。

 

海水揚水発電所の全体像
海水揚水発電所の全体像

 

 サン・マルコスの町の沿岸から350mの沖合に取水口を設置、後背の標高約600mの山地に設置する2つの人工池へトンネルで揚水して発電する。発電所は発電容量100MWの水力発電タービンを3基備え、合計300MW。主に夜間に発電し、日中は561MWの発電容量を持つ太陽光発電所で発電、さらに太陽光発電で揚水用の電力をまかなう。

 

 同事業が完成すると、地域に電力を供給するとともに、年間CO2排出量を約100万㌧分削減できる。海水の淡水化設備も併設し、アタカマ砂漠に近い周辺地域の住民用飲料水の確保にも充当する。電力の確保、CO2削減、水不足解消、そして地元の雇用創出などが期待されるわけだ。

 

山の上の自然の窪地に作られる2つの人工池
山の上の自然の窪地に作られる2つの人工池

 

 総事業費10億9400万㌦のうち、三菱UFJ銀行のアレンジで、GCFが6000万㌦を出資する。GCFの出資比率は事業会社全体の13%に相当する。残りの出資はValhallaが2500万㌦(6%)、民間投資家が3億6090万㌦(81%)。融資はTDBから6億4730万㌦を調達する計画。三菱UFJはGCFの認証機関として、地域住民等からの環境・社会的問題相談の窓口機能も担当する。http://rief-jp.org/ct1/71100

 

 総事業費の配分は、事業の中心となるPSHに半分の資金を充当、太陽光発電設備は39%、その他のプロジェクト関連の金融コスト等に11%の割合となる。

 

発電所全体を管理するコントロールシステムもすべて地下に建設
発電所全体を管理するコントロールシステムもすべて地下に建設

 

 チリ政府は、2050年にカーボン排出量をネットでゼロにする目標を掲げている。ただ、現在は石炭火力発電を28基操業し、同国の全電力の4割をまかなっている。

 

 ピニェラ大統領は6月、今後5年間で、現在操業中の石炭火力発電所8カ所を閉鎖すると公表した。2040年までに全石炭火力を閉鎖し、再エネ中心のエネルギー政策に転換する方針で、今回の海水揚水発電所の「ゴーサイン」は同国のエネルギー転換の象徴になるとみられている。https://rief-jp.org/ct5/90479

 

 海水揚水発電所は、電源開発(Jパワー)が国費350億円を投じて、沖縄本島で世界で初めて建設、2004年に発電開始にこぎつけた事例がある。ただ、沖縄電力が売電を継続しなかったため、現在は、施設は廃止された形になっている。

 

https://www.bk.mufg.jp/global/productsandservices/corpandinvest/gcf.html