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避難続き自殺 東電提訴へ 川俣の遺族賠償請求(河北新報)

2012-05-09 11:11:03

福島第1原発事故で避難し、自殺した福島県川俣町山木屋の養鶏場従業員渡辺はま子さん=当時(58)=の夫で無職幹夫さん(61)ら遺族4人が、東京電力に5190万円の損害賠償を求める訴えを18日に福島地裁に起こす。福島原発被害弁護団によると、原発事故関連の自殺者の遺族が東電に賠償請求訴訟を提起するのは初めて。
 訴えによると、はま子さんは昨年7月1日早朝、自宅近くのごみ焼き場でガソリンをかぶり、火を付けて自殺した。
 はま子さんは原発事故4日後の昨年3月15日、家族と共に福島市の親戚宅に身を寄せ、翌日から5日間、福島県磐梯町の町民体育館に避難した。その後、自宅に戻ったが、山木屋地区が計画的避難区域に指定され、6月12日に福島市のアパートに引っ越した。自宅には自殺前日に一時帰宅で戻っていた。
 

避難生活は気詰まりがしてストレスがたまったという。長男(37)らと離れて暮らさざるを得ず、精神的に衰弱して睡眠障害に陥った。勤め先の養鶏場も閉鎖され、職を失った。遺書はなかったが、不自由な避難生活で心的負担が増してうつ病になり、自殺を選択したとしている。

 遺族側は損害賠償を求める通知書を東電に出した。東電は「自死に至った詳細な経緯が確認できない」として回答を留保したため、提訴に踏み切る。
 

東電は「当社として承知しておらず、コメントは差し控える」と話している。

http://www.kahoku.co.jp/news/2012/05/20120509t63007.htm