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長野・霧ケ峰高原の旧牧場跡の森林でのメガソーラー計画、事業主のLooopが計画断念。地元住民の懸念払しょくできず。事業採算性低下。森林管理の課題は残る(各紙)

2020-06-20 13:19:13

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 各紙の報道によると、新電力ベンチャーのLooop(東京)は、長野県諏訪市の霧ケ峰高原近くで計画していた大規模太陽光発電所(メガソーラー)事業から撤退することがわかった。18日に同市で開いた地元説明会でLooopの中村創一郎社長が表明した。同事業は敷地面積は196.5haで、東京ドームの約42個分という大きさ。周辺の森林を大規模に伐採することから、土砂災害の誘発や水源地に影響すること等の懸念から住民が反対姿勢を示し、地元の諏訪と茅野両市も環境影響評価準備書に対して疑問を示す意見を示していた。

 

 長野日報等によると、説明会は、計画地を保有する上桑原牧野農業協同組合、上桑原山林組合、上桑原共有地組合が主催し、諏訪市内の2カ所で開いた。説明会は非公開だったが、終了後、Looopの関係者が報道陣に対して撤退の意向を明らかにした。事業の受け入れをしてきた上桑原牧野農協等も撤退受け入れを表明した。

 

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 農協や山林組合等は、メガソーラーを受け入れることで、高齢化等による人手不足で管理が不十分となっている森林管理も進められるとしてきた。ただ、地元住民らは、広大なメガソーラーが山地に設置されることに対し、豪雨時の土砂災害の誘発や、周辺の自然環境への影響等を懸念して反対運動を展開。地元両市も、Looopのアセスメントに対して、懸念、疑問を示す意見を示していた。http://rief-jp.org/ct8/103183?ctid=72

 

 Looopは、太陽光発電を設置しない半分の面積は残置森林等として維持管理し、森林管理と再エネ発電の両立を目指すと説明してきた。しかし、今月1日に示された両市の意見書でも、引き続き疑念が指摘されていた。

 

 このため、地元の了解が得られる見通しは依然、得られず、固定価格買取制度(FIT)の買い取り価格も、当初計画時に想定していた1kWh当たり40円から、現在は18円にまで下落。このまま来年3月までに着工できないと14円にまで下がる見通しで、事業性も低下してしまう。こうしたことからLooopも撤退を判断したとみられる。

 

 諏訪、茅野両市が意見書で示した主な意見は次の通り。

 

 「調査、予測及び評価や、環境保全措置等について、準備書は不明点、不備及び不足が散見され、妥当性、客観性及び再現性が明らかでない部分が多い」

「準備書の縦覧及び準備書説明会等を通じて、地域住民等の疑問、不安及び懸念等の解消と合意形成が図られるべ きものだが、既にこれらの機会を逸している。科学的な検証を経ていないと考える」

「広大なエリアで大規模な森林伐採、膨大な数量のパネル設置、巨大な調整池の設置等が計画されている。このような規模の太陽光発電設備の設置は、この地域では前例がなく、環境への影響の懸念はもとより下流域に暮らす住民の不安は計り知れないものがある」

http://www.nagano-np.co.jp/articles/63660