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2030年の太陽光発電(事業用)の発電コスト、原発を抜いて最安値に。脱炭素に向けた再エネ拡大へ。経済産業省が新試算示す(各紙)

2021-08-04 11:55:17

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 各紙の報道によると、経済産業省は3日、2030年時点での電源別の発電コスト試算を公表した。このうち、太陽光発電のコストは1kW時当たりで8.2~11.8円(事業用)とした。下限値は他の電源に比べて最安値となる。これまで最もコストが安いと同省が推奨してきた原子力発電所は、これまでより1.5円上昇し11.7円以上となった。

 

 試算値は、同日開いた総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)のワーキンググループで示した。発電コストの見直しは6年ぶり。試算は各発電設備を新たに更地に建設、運転した場合という条件で算出した。

 

 太陽光発電のコストは世界的に大きく下がっているが、わが国ではこれまで12.7円~15.6円(事業用)と、原発(10.3円)より高く試算されていた。今回は、全体に4円ほど価格が下がったほか、原発は東京電力福島第一原発事故後の安全対策強化費用等の上積みによって1円強の上昇で11.7円となり、太陽光発電の下限値との差は3.5円に開いた。

 

 太陽光発電(住宅用)も8.7円~14.8円と2~4円下がった。風力発電(陸上)も9.9円~17.2円で、下限値は原発より安くなる。ただ、政府が力を入れている洋上風力発電は、30年でも26.1円と太陽光より3倍強高い水準となっている。

 

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(注)日本経済新聞より

 

 ただ、経産省では太陽光や風力等の再エネ電源については、気象条件によって発電効率が変わることで、安定的な電力供給を確保するためには、火力発電や揚水発電等によるバックアップ電源が必要になるので、実質コストは高まると指摘。再エネ拡大に伴う火力の設備利用率低下などの影響をコストに反映させると、事業用太陽光発電で18.9円、陸上風力で18.5円に上昇、原発(14.4円)を上回るとの参考値を付け加えている。

 

 さらに試算には、再エネ拡大で必要な送電網強化などの費用は含まれていないので、実際の運用時のコストは試算より高くなる可能性もあるとしている。ただ、原発の場合も、東電の事故対策費用を国費で補填しているほか、再処理費用等についても国費が投入されている。

https://www.meti.go.jp/shingikai/index.html