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エネオス、オーストラリアで再生可能エネルギー発電から水素を製造する「グリーン水素」事業で豪企業と協業の覚書。輸送時は「MCH」に変換(RIEF)

2021-08-04 16:14:56

eneosu00333キャプチャ

 

  エネオスは、オーストラリアでの再生可能エネルギー発電由来の「グリーン水素」を、メチルシクロヘキサン(MCH)に変換して輸入する「CO2フリー水素サプライチェーン」構築で、現地企業と覚書を交わしたと発表した。提携先は、フランスの独立系再エネ企業ネオエンのオーストラリア法人(Neoen Australia Pty Ltd)。ネオエンが再エネ発電から水電解までを担当、エネオスは製造された水素をMCHに変換して輸送することを担当する。

 

 ネオエン社はグローバルに再エネ事業を展開している。オーストラリアでは特に活発に事業展開をしており、同社全体の保有発電設備のほぼ半数に相当する2GW(建設中も含む)を同国で開発している。

 

 同国内の南オーストラリア州で、ゴ イダー・リニューアブル・ゾーンやクリスタル・ブルック・エネルギー・パークという2つの先進的な事業を開発している。風力発電と太陽光発電に蓄電池を組み合わせることで、再エネ発電の課題である天候の影響をカバーした安定的な電力供給体制を確立している。

 

 今回、エネオスと実施する協業では、その南オーストラリア州で実施する。役割分担はネオエンが、自社が運営する太陽光、風力の両発電所からの再エネ電力の安定供給と、同電力から水電解槽水素の製造を担当する。エネオスは製造された水素を、MCHに変換して海上輸送して日本に持ち込むプロセスを担当する。

 

 MCHはトルエンに水素を反応させて変換する「有機ケミカルハイドライド(OCH)法」。常温・常圧の水素ガスを500分の1の体積の常温・常圧の液体状態で輸送・貯蔵が可能になる。日本に輸送後、触媒反応によってMCHから水素を分離して供給する。その際に得られるトルエンは再びオーストラリアに持ち帰って、次のMCHの生成の原料として活用できる利点がある。

 

  南オーストラリア州は、蓄電池インフラが世界で最も整備された地域のひとつとして知られる。同州政府は、水素・アンモニア等の次世代エネルギー産業の育成を目指し、有力 な港湾設備の拡張も計画している。今回の協業化の検討に際しては、日本政府のグリーンイノベーション基金のほか、オーストラリアの水素ハブ構想等の両国政府による政策支援策も活用することを目指すとしている。

 

  今回の協業計画で使用するタンカー、貯蔵タンク、脱水素装置等の設備は、エネオスの既存の石油関連インフラを活用できる。このためエネオスでは、新規投資を抑制しつつ新たなエネルギーの供給体制を築くことが可能と、説明している。

https://www.eneos.co.jp/newsrelease/20210802_01_02_1170836.pdf