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太陽光発電システム製造・販売のアンフィニ(大阪)、民事再生適用申請。中国での価格下落の影響で資金繰り悪化。福島工場も建設半年で行き詰まり。再エネリスク顕在化(RIEF)

2021-10-01 01:22:27

JPおうぇキャプチャ

 

 太陽光発電システム製造・販売のアンフィニ(大阪市)が30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、同日、監督命令を受けた。負債額は約87億円。同社は提携先の中国の有力ソーラーメーカーの工場で自社ブランドの太陽光発電設備を製造・販売を展開、国内でも福島工場を立ち上げていたが、3年前の中国政府の政策転換で製品の市場価格が下落、資金繰りが悪化していた。市場変動の激しい再エネビジネスの基盤の弱さを露呈した格好だ。

 

 (写真は、同社のCMストーリーから)

 

 同社の行き詰まりの影響を受けて、福島工場(双葉郡楢葉町)の建設・操業等で同社に融資してきた地元の東邦銀行、福島銀行はそれぞれ債権取り立て不能・遅延の遅れが出ている。ただ、東邦銀の場合、29億100万円の融資残高のうち必要額の引き当てを完了しているという。福島銀行は6億7400万円の残高のうち未保全分は約4億円で、7~9月期に引き当て処理する。

 

 アンフィニは、1995年12月に設立。新電力事業向けを主体に発電所事業や太陽光発電システムの製造販売を手がけてきた。2010年には自社ブランド「ジャパン・ソーラー」を展開。提携先の中国の有力ソーラーメーカーの工場に自社専用ラインを設置して生産を増大、展開していた。

 

 国内対応では、経済産業省の「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」(約48億円)などを活用して約75億円の投資を行い、2017年7月には福島工場を開設した。補助金の条件である60名を超える地元雇用を生むなどの積極的な活動もみせていた。

 

 ところがこの福島工場は同年10月に本格稼働したが、ほぼ半年後の18年5月、中国政府は太陽光発電の拡大に急ブレーキをかける政策を発表。この影響で、行き場を失った中国製太陽光発電機器の余剰在庫が流入して市場価格が急落した。

 

 福島工場の製品も価格競争力を失い、大幅な在庫を抱えるなど販売計画に狂いが生じた。政府補助金の条件だった現地雇用による人件費負担も工場のコスト増となり収益を圧迫した。政府の「2050年ネットゼロ」目標達成には、太陽光発電等の再エネ事業の拡大が見込まれる。だが、同社の製品は価格競争力を失っており、経営継続を断念した。

 

 同社は、メガソーラー案件の売却や新電力事業の拡大で業績を伸ばし、ピークの2017年3月期には年売上高約165億9700万円を計上。一時は上場も視野に入れていたとされる。しかし、中国の政策転換の影響でリストラに着手、2019年5月末には20名体制に縮小。2021年3月期の年売上高は約53億円に落ち込んだほか、約14億円の大幅欠損を計上した。

 

 「2050年ネットゼロ」政策に向けて再エネ増大は大きなカギだ。だが、日本製の太陽光発電設備等は、中国市場の影響を大きく受け、十分な展開ができないまま、行き詰まってしまった。政府(経済産業省)の補助金政策も、エネルギー企業の基盤強化のためではなく、地方の雇用対策。結果として企業に固定費負担を強いる形になった。

 

https://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/4823.html

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