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損保ジャパン、輸入バイオマス燃料の供給中断・停止リスクを補償する「バイオマス燃料調達保険」を開発、販売。途上国等でのサプライチェーントラブルを担保(RIEF)

2021-09-30 13:35:01

biomasu001キャプチャ

 

 損害保険ジャパンは29日、海外からのバイオマス燃料の輸入に伴う供給中断・停止等の事故時の追加費用を補償する「バイオマス燃料調達保険」を開発、販売を開始した。再生可能エネルギー扱いされるバイオマス発電だが、燃料を海外に頼る発電では燃料調達が途絶したり、不良品が混じる等のトラブルも起きている。燃料輸入ができない場合に必要な代替燃料確保の費用を保険で確保できるようにする。

 

 これまでのバイオマス燃料契約では、燃料の売主である燃料供給業者が、買主となる発電所等の燃料使用者との間で燃料供給契約書を結び、燃料供給が途絶えた場合の代替燃料の調達(スポット買付け等)や、 各種超過コスト等を負担する約定を定めている。

 

 しかし、海外からの輸入燃料の場合、供給不能期間が大規模かつ長期にわたったり、対応費用が巨額になる ケースも想定される。買主側は常に供給中断リスクを抱えて発電事業を行うリスクがある。このため、 輸入バイオマス燃料に頼る発電事業者の間では、供給中断・停止が業界共通のリスクとなっている。https://rief-jp.org/ct7/112592

 

 主な輸入バイオマス燃料のリスクは、海外での燃料産地で木材チップ等への加工製造工程でのサプライチェーンで発生する火災や爆発事故、さらには気候変動による自然災害の影響によって売り主の燃料供給が中断するなどがある。また自然環境破壊を起こしている地域では住民らの反対で操業が停止するリスクもある。https://rief-jp.org/ct4/107574

 

 損保ジャパンの今回の保険は、売主・買主双方を守ることを目指すとしている。保険契約は、燃料供給契約を燃料使用者(発電所等)と締結する売主が結ぶ。対象となる保険リスクは、偶然の事故等で代替燃料を調達せざるを得ない場合の追加費用等で、同費用が発生した場合、予め締結した契約書の取り決めに基づき、 売主が代替燃料調達や賠償などで追加費用を補償する。

 

 バイオマス発電は、「2050年のネットゼロ」に向け有力な代替電源と期待されている。国内での再エネ開発余地が限られる中で、 大規模な電源確保に資するためだ。バイオマス発電は、廃棄物等を活用したエネルギー生成も可能。産業界では安定したベースロード電源としての期待が高い。石炭火力発電等に木質バイオマスを混ぜてCO2排出量を削減する需要も高まっている。

 

 ただ、アジアや北米等での燃料産地では、自然資源の過剰開発問題や、燃料製造工程のサプライチェーンで粗悪品が混在したり、事故が起きるなどの課題が指摘されている。http://rief-jp.org/blog/106229

 

 損保ジャパンでは、国内での保険による補償の提供と並行して、燃料の長期安定供給と持続可能な現地生産体制構築を両立させるため、 燃料生産国から日本に至るサプライチェーン整備のほか、生産地での自然環境保全に取組む燃料供給業者を、同グループの海外ネットワークやリスクエンジニアリング会社と連携して、 リスクを軽減する等の支援を検討するとしている。

 

https://www.sompo-japan.co.jp/-/media/SJNK/files/news/2021/20210929_1.pdf?la=ja-JP