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東京海上ホールディングス、新規の石炭鉱業向け保険引き受け停止。他の損保も追随の見通し。昨年の新規石炭火力事業引き受け停止に次ぐ。ただ鉄鋼用の石炭開発は対象外(各紙)

2021-09-28 11:51:26

Tokioキャプチャ

 

 各紙の報道によると、東京海上ホールディングスは10月から、石炭火力発電向けの国内外での炭鉱開発事業への新規保険引き受けや投融資を停止する。他の損保各社も追随するとみられる。商社やエネルギー会社などが海外で炭鉱開発をする際には事業リスクを担保するため保険加入が前提となることから、日本企業の石炭火力向けの新規石炭開発は、海外の保険会社と契約する以外は、事実上封じ込められることになる。

 

 日本経済新聞が報じた。日本の損保で石炭鉱山開発の保険引き受けを停止するのは東京海上が初めて。すでに欧米損保では先行する形で石炭鉱山事業の引き受け停止が広がっている。東京海上を含め、国内損保大手3グループは2020年秋、新設の石炭火力発電所向けの保険引き受け停止を宣言している。

 

 今回、東京海上が石炭火力に続いて、新規の石炭鉱山も停止対象とし、他の損保も追随するとみられることで、日本のエネルギー源の石炭依存拡大に歯止めがかかることになる。ただ、既存の石炭鉱山や火力発電向けの保険引き受けは継続される。また鉄鋼用の石炭事業は対象外とみられるため、完全な脱石炭にはまだ時間がかかるとみられる。

 

 報道によると、世界の石炭鉱山開発の2020年の市場規模は15年比15%増の6616億㌦(約73兆円)。うち7割程度が発電向けの燃料炭とされる。炭鉱開発会社は工事中に想定される自然災害や事故に備える建設工事保険、火災保険に加入する場合が多い。国内損保による炭鉱開発の引き受け規模は保険料ベースで年間約100億円に上るとされる。

 

 保険会社にとっても、「2050年ネットゼロ」が進む中で、新規の石炭鉱山開発事業の保険を引き受けると、事業途中で事業運営が中断され、保険契約も含めて「座礁資産」する金融リスクを抱えることになる。

 

 すでに商社などでは燃料炭の権益から撤退する動きが出ている。住友商事は8月、オーストラリアで運営してきた石炭火力発電用の石炭炭鉱事業を、資源大手のグレンコア(Glencore)社に売却した。同事業は当初、グレンコアと伊藤忠が共同開発してきた権益を、伊藤忠が打ち出した「脱炭素」方針で住商が引き受けていたもの。石炭開発だけでなく、「脱化石燃料」の動きは石油・ガスにも広がっている。https://rief-jp.org/ct10/117026?ctid=72

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210928&ng=DGKKZO76106350X20C21A9EA1000