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住友商事、オーストラリアの石炭火力発電用炭鉱事業の権益を共同事業者のグレンコアに売却。伊藤忠商事から譲渡されていたもの。住商も「脱石炭」に一歩(RIEF)

2021-08-18 14:20:51

Coalstone001キャプチャ

 

  住友商事は17日、オーストラリアで運営してきた石炭火力発電用の石炭炭鉱事業を、資源大手のグレンコア(Glencore)社に売却する契約を結んだと発表した。同事業は当初、グレンコアと伊藤忠が共同開発してきた権益を、伊藤忠が「脱炭素」方針で住商に売却していた。グレンコアも同権益の売却を試みてきたが、石炭価格が昨年末から上昇に転じており、住商の「離脱」を認めた形だ。

 

 (写真は、住友商事が権益を売却したオーストラリアのロールストン石炭鉱山の露天掘りの状況)

 

 住商が売却を決めた権益は、豪州クイーンズランド州のロールストン(Rolleston)鉱山での一般炭炭鉱事業。伊藤忠が保有していた12.5%の権益を、住商子会社が引き継いだ形となっていた。住商は、グレンコア子会社との間で、譲渡契約(Sale Agreement:SA)を締結し、権益分をグレンコア側に売却することで合意した。グレンコアは同鉱山を100%保有することになる。

 

 ロールストン鉱山での2020年の一般炭の生産は1250万㌧で、18年の1550万㌧から約2割減っている。脱炭素化の流れが加速する中で、グレンコア自体、同鉱山を2017年に売却方針を打ち出していた。しかし、買い手が見つからず、18年10月には売却オファーを取り消していた。

 しかし、昨年末から石炭価格が上昇し、生産は増大している。5500 kcal/kgの標準的一般炭の価格(fob価格)はトン当たり約100㌦で、1年前の58㌦の倍近くにまで上昇している。グレンコアが同鉱山を売却しようとした2017年は72㌦だったのでそれを3割ほど上回っている。

 石炭価格の上昇は、供給サイドが日本の商社のように「脱石炭」方針で生産縮小や売却等の動きを強める一方で、日本をはじめ石炭火力発電に依存している国での石炭消費需要は減少していないことから、需給がタイトになっていることが大きい。

 ロールストン鉱山の生産コストは基本的に変わらないので、グレンコアの同鉱山での収益は向上している。同鉱山は2040年以上、環境面での操業認可を得ている。

https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/release/2021/group/14980

 https://www.argusmedia.com/en/news/2244894-glencore-buys-100pc-of-australias-rolleston-coal-mine