HOME |INPEX、長期戦略で「ネットゼロ5分野」を特定。CCUSや森林クレジット事業等に2030年までに総額約1兆円を投じ、営業キャッシュフローの1割程度の確保目指す(RIEF) |

INPEX、長期戦略で「ネットゼロ5分野」を特定。CCUSや森林クレジット事業等に2030年までに総額約1兆円を投じ、営業キャッシュフローの1割程度の確保目指す(RIEF)

2022-02-09 16:23:39

Inpex003スクリーンショット 2022-02-09 161230

 

 INPEXは9日、「2050年ネットゼロに向けた基本方針」として、CO2の回収利用貯留(CCUS)能力を2030年ごろに年間250万㌧以上を達成するほか、森林クレジット等も年200万㌧を確保する等の「ネットゼロ5分野」戦略を公表した。これらのネットゼロ分野に2030年までに最大1兆円を投じ、営業キャッシュフローの1割程度を確保するとしている。同社は「ネットゼロカーボンを理想から現実に変える」と説明している。

 

 同日公表した「長期戦略と中期経営計画」で明らかにした。長期戦略では、同社の事業を「ネットゼロ5分野」と、これまでの柱である「石油・天然ガス分野」に二分し、前者について「2050年ネットゼロへの挑戦」と位置付けた。「5分野」は①水素・アンモニア②CCUS③再エネ④メタネーション⑤森林(クレジット)、である。

 

 このうち②のCCUSでは、現在、西オーストラリア沖合で開発中の天然ガス開発事業「イクシス」から出るCO2を回収・貯留するCCS事業を、ノーザンテリトリー準州の州都ダーウィンで展開する。早ければ22年中にも貯留地の選定作業を開始、26年にも貯留を始めるとしている。貯留量は年間200万㌧以上を目指している。

 

INPEXが予定するオーストラリアのCCSプラント事業
INPEXが予定するオーストラリアのCCSプラント事業

 

 CCSの利用で「CO2フリー」となるLNGについては、他のLNGと差別化し、回収・貯留による環境価値を販売価格に上乗せすることを検討しているいう。上乗せ分は「数%」と報道されている。また非化石証書を活用した排出枠クレジットの販売も検討対象となる。

 

 水素・アンモニアついては、国内の新潟県柏崎にブルー水素・アンモニア製造の実証プラントを建設し、2024年中の運転開始を目指す。国内でのブルー水素製造力を30年までに10万㌧規模とする。海外では中東アブダビで大規模アンモニア製造プラントの共同事業に参画しており、2020年代後半から供給を目指す。オーストラリア、インドネシア等での水素事業も推進する。

 

INPEx003スクリーンショット 2022-02-09 161155

 

 森林クレジットについては、昨年、インドネシア・ボルネオでのREDD+事業である「Rimba Raya Biodiversity Reserve REDD+」プロジェクトから今後5年間で500万㌧のカーボンクレジット取得契約を結んだ。今後、同事業等を拡大することで年間200万㌧程度のクレジットを安定的に確保する。クレジットについては、石油・ガス事業等やCCS事業等の排出削減を補完すると同時に、カーボンニュートラルを目指す顧客向けの販売も想定している。

https://www.inpex.co.jp/news/assets/pdf/20220209d.pdf

https://www.inpex.co.jp/company/pdf/inpex_vision_2022.pdf