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英BP、ロシアの石油大手ロスネフチとの関係を停止。保有株(19.75%)の売却のほか、BPのCEO等の派遣役員の辞任等。株売却先は不明(RIEF)

2022-02-28 12:55:23

BP001キャプチャ

 

  英エネルギー大手のBPは27日、同社が保有するロシアの石油大手ロスネフチの全株式(19.75%)をすべて売却すると発表した。ロスネフチの役員に就任していたBPのCEOらもロスネフチの役員職を辞任する。ロシア国内でのロスネフチとBPの合弁の開発事業も終える。ロシアのウクライナ侵攻に抗議する形であるとともに、西側諸国の対ロ経済制裁が長期化することを踏まえて、協力関係を遮断する決断をしたとみられる。ただ、BPが保有株をどこに売却するかは明らかにしていない。

 

 BPの会長のHelge Lund氏は「ロシアのウクライナへの攻撃は、同地域に悲劇的な結果をもたらす侵略的行為だ。BPはロシアで30年以上、優秀なロシアの人たちとともに活動してきた。しかし今回の軍事行動は基本的な変化を引き起こした。BPの役員会はロシアの国有企業であるロスネフチへの我々の関与をこれ以上、続けることはできないことで合意した。この決断はBPのすべての株主にとってベストな長期的利益につながると信じている」と述べた。

 

 BPは2006年にロスネフチの新規株式公開(IPO)で株式1.25%を取得した。その後、2013年に保有していたロシアの石油合弁会社TNK-BPをロスネフチに売却、その見返りとして、ロスネフチ株18.5%を追加取得し、保有株は合計19.75%となっていた。BPのロスネフチ株の保有割合は、約4割を出資するロシア政府に次ぐ第2位の座にあった。

 

 ロスネフチの役員の座を降りるのは、BPの現CEOのBernard Looney氏と、前CEOのBob Dudley氏の両氏。前、現のCEOがロスネフチの役員会に所属していたことからも、BPのロスネフチへの関与の深さがうかがえる。BPは今回のロスネフチ株売却を受け、同社株保有継続を前提としていた財務処理を全面変更する。

 

 まず、ロスネフチ事業の持ち分法投資損益の計上を停止し、同部門の生産量や収益などの報告を中止する。またシベリア等での資源開発などでのロスネフチとの3つの合弁事業も解消する。これらの会計上の処理については、BPの今年第一四半期の財務報告に反映させる。

 

 ただ、BPが売却を宣言したロスネフチ株をどこが買うかは不明。売却先としては、ロスネフチ自体が買い取る可能性があるほか、欧米の座礁資産等を買い取るプライベートファンド等も想定される。ロシアのウクライナ侵攻が短期間で終わり、ロシアとウクライナ及び欧米との関係が比較的短期間で、正常化に向かうメドがつくようならば、ロスネフチがいったん買取後に、再びBPが買い戻すパターンも想定できる。

 

 しかし、プーチン政権の強硬姿勢を考えると、そう簡単に欧米と折り合いの付く着地点が見いだせるとは思いにくい。長期化が不可避とすると、BPが他のファンド等にダンピング売却する可能性もあり得る。BPにとっては今回のロスネフチとの関係見直しによってロシアの化石燃料開発ビジネスから撤退することを契機に、化石燃料事業からの全面脱却、再生可能エネルギー等のクリーンエネルギービジネスへの転換を鮮明にする選択肢もあり得る。

https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/bp-to-exit-rosneft-shareholding.html