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ベトナムの自動車メーカーVinFast、米国ノースカロライナ州に製造工場建設を発表。2024年7月に稼働。第一段階として年間15万台のEVを米国市場に投入へ(RIEF)

2022-03-31 13:09:20

VF001キャプチャ

 

  米国市場でベトナム製の電気自動車(EV)の販売を開始したベトナムの自動車メーカーVinFast(ビン・ファースト)は29日、米南東部のノースカロライナ州にEVの製造工場を建設すると発表した。工場での生産稼働は2024年7月の予定。同社は、今年初めから自社ブランドのEVを米国に輸出して販売しているが、米国工場の建設で生産規模を拡大する方針。同社の工場建設については同州も歓迎している。

 

 (写真は、ノースカロライナ州での工場建設の覚書調印式で、前面㊧は同州のクーパー知事、㊨はVFグローバルCEOのLe Thi Thu Thuy氏)

 

 VF社は、ベトナム最大のコングロマリットVingroupの傘下で、2017年に設立された。19年からドイツのBMWのライセンスに基づくガソリン車の生産販売から始めた。すでにベトナムの工場でEV生産を開始し、VF e35、VF e36という二種類のEVを開発している。今年1月からは、SUV(スポーツ多目的車)タイプを米国市場でオンライン販売を開始している。https://rief-jp.org/ct10/121315

 

 米国工場の建設予定地はノースカロライナ州のチャタム郡の「Triangle Innovation Point」。敷地面積は約800ha。年内にも第一段階の建設を始める予定。製造するのは乗用車のEV製造ラインのほか、電気バスの製造ライン、組み立てラインの3部門。当初の生産量は年間約15万台の計画。生産するEVはSUVの7人乗りのVF 9のほか、5人乗りの中規模SUVのVF 8の予定。乗用車タイプのVF e35等は引き続き、ベトナムから輸出する見通し。

 

 ノースカロライナ州のロイ・クーパー(Roy Cooper)知事は、「VFの新事業は、温室効果ガスの削減に資するEVを生産する望ましい環境をもたらすとともに、多くの雇用をわが州にもたらす。ノースカロライナは米国のクリーンエネルギー経済の中心に変貌するだろう」と歓迎のコメントをしている。

 

 地元の経済界もそろって歓迎の意向を示している。EV工場は車体等の部品だけでなく、蓄電池、電源装置等の幅広いビジネスを拡大することが期待されるためだ。

 

 VFの親会社のVingroupの副会長で、VFのグローバルCEOを務めるLe Thi Thu Thuy氏は「ノースカロライナ州の温室効果ガス削減をはじめとするクリーンエネルギー経済への強いコミットメントを受けて、われわれはVFのEV製造拠点とすることを決めた。米国市場に生産拠点を持つことで、独自のサプライチェーンを形成、生産体制を強化することで、顧客に対して安定した価格での提供が見込める」と”米国上陸”のメリットを強調している。

 

 VFは米国進出のほか、カナダ、ドイツ、フランス、オランダでもすでにEV販売事業を展開している。欧州市場には現在のところ、ベトナムからの完成車を輸出している。ベトナムのハイフォン工場がEV生産拠点。同工場は現在、年間2万5000台の生産能力だが、これを増強工事を進めており、2026年までに年間95万台のEV生産力を保有するとしている。日本企業もEV市場では欧州車だけでなく、価格優位性のあるアジア車のグローバル展開も無視できない状況になっている。

 

https://vingroup.net/en/news/detail/2513/vinfast-to-build-ev-factory-in-north-carolina