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日本最大のCO2排出企業のJERA。保有火力発電所9基の廃止を発表。合計出力383万kW強。すでに長年閉鎖状態で現行の発電量に影響なし。廃止発電所の7割増の新規発電所を建設中(RIEF)

2022-03-31 18:17:52

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 日本最大のCO2排出企業のJERAは31日、保有する火力発電所9基を廃止したと発表した。廃止した火力発電所合計出力は383万3000kW。経産省が廃止を促進する非効率石炭火力に該当する。設備の老朽化で維持費用がかさみ、投資回収できないと判断した。経産省は発電効率43%以下の火力発電は「非効率火力」として市場退出を求めている。

 

 (写真は、長期計画停止状態だった東京・品川の大井火力発電所)

 

 JERAは東京電力ホールディングスと中部電力がそれぞれの化石燃料発電所を持ち寄って設立した折半出資会社。国内25カ所(建設中を含む)に火力発電所を保有するほか、LNG基地を8カ所保有する。火力発電の総発電出力は6500万kW(2020年4月時点)。

 

 今回廃止を決定したのは、このうち、これまで長期計画停止していた大井火力発電所1~3号機、横浜火力発電所5・6号機、知多火力発電所1~4号機の合計9基(計383.3万kW)。大井火力は燃料に原油を使い、他の火力はLNGを燃料としていた。いずれも1960~70年代に稼働を始めたもので、設備の老朽化で維持費がかさみ、すでに2016、17年から稼働を停止している。このため、現在の電力供給力に与える影響はないとみられる。

 

 同社は、これらの火力発電所の代替のため、横須賀火力(神奈川県横須賀市)、武豊火力(愛知県武豊町)、姉崎火力(千葉県市川市)、五井火力(同市原市)で合計9基の火力発電の建設工事を進めている。工事は22~24年度に完了する予定。完成すると総発電量は666万kWとなり、今回の廃止発電所の総量より約7割増となる。

 

 同社は2月に経産省のモデル事業として、保有する老朽火力発電所の閉鎖やアンモニア混焼技術確立のため、トランジションボンドの発行を発表している。同ボンドの資金使途先には、今回、閉鎖を決めた知多火力の閉鎖費用や、新規に建て替える五井火力の既存発電設備の撤去費用等を含めている。ただ、同ボンドはロシアのウクライナ侵攻前の債券相場の不安定性拡大から、発行を延期している。https://rief-jp.org/ct4/122679

 

https://www.jera.co.jp/information/20220331_872