北海道電力、道内の老朽化の石炭火力発電所2カ所4機を2027年3月末に廃止を発表。「非効率石炭火力フェードアウト」策の一環。別途、LNG火力2機の着工準備を進める(RIEF)
2022-06-28 00:29:31

北海道電力は、北海道内の空知地方にある石炭火力発電所2カ所を5年後の2027年3月末に廃止すると発表した。両火力発電とも経年劣化が進んでいることと、カーボンニュートラルの実現に向けて経済産業省が打ち出した「非効率石炭火力フェードアウト」策の一環としている。同社は別途、石油燃料の火力発電所も廃止を予定する一方で、2030~35年の稼働を目指して、石狩湾新港で2基のLNG火力発電を建設する準備を進めている。
(写真は、廃止が決まった北海道電力の砂川石炭火力発電所。手前に石炭が野積みされている。=北海道新聞より)
廃止を決めたのは空知管内奈井江町にある奈井江火力発電所の1、2号機と、砂川市にある砂川火力発電所3、4号機の合計4機。(このうち奈井江火力は2019年3月末以来、すでに休止されている。出力は奈井江火力が2機合計で35万kW、砂川火力も2機合計で25万kW。北電では、両火力の廃止に伴う電力需給への影響はないと説明している。跡地の利用については、今後、地元と協議していく。
両火力とも、地元の石炭事業者が地元での露天掘り炭鉱で採炭して、北電に供給してきた。奈井江火力の休止後は、砂川火力への供給に限定しているが、地元では2027年の廃止後の採炭業者や石炭の運搬業者などの対策を求める声が出ている。石油火力は釧路市音別にある1、2号機の2機。合計14.8万kWの出力。廃止の方針はきめているが、廃止時期は未定。
北電では現在、虻田郡京極町で揚水発電所(出力20万kW)を建設中で完成時期は2032年度以降の予定。着工準備中なのが石狩湾新港のLNG火力発電所の2、3号機。いずれも出力56.94万kWの発電力を持つ。着工時期は2号機が2027年3月、3号機が2032年3月の予定で、完成時期はそれぞれ30年12月、35年12月となっている。
北電は「両発電所は、運転開始から長きにわたり北海道における電力供給の一翼を担ってきた。地域の皆さまをはじめ関係する方々に支えられたことによるもので、厚くお礼申し上げる。廃止までの間、引き続き安定運転に努める」とコメントしている。