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電源開発(Jパワー)の株主総会。海外大手機関投資家による日本企業の脱炭素強化を求める初の株主提案を否決。賛成比率は3割未満。引き続き投資家からの提案は増える見通し(RIEF)

2022-06-28 14:28:56

Jパワーキャプチャ

 

  各紙の報道によると、電源開発(Jパワー)は28日に東京都内で開いた株主総会で、仏運用大手アムンディなど欧州の機関投資家3社とオーストラリアのNGOが提出していた脱炭素への対応強化を求める株主提案を否決した。会社側の発表では、提案内容に対する全議決権の賛成比率は18~26%で、定款変更に必要な3分の2以上には達しなかったとしている。しかし、主要な機関投資家が日本企業に気候変動対応を共同で求める提案は今回が初めてで、今後、日本企業の気候対応が、グローバル水準で問われ続けることになりそうだ。

 

 株主提案をしたのは、欧州最大の資産運用会社の仏アムンディ、世界最大級のヘッジファンドの英マン・グループ、英銀系のHSBCアセットマネジメント。これにオーストラリアの環境NGOのACCRも共同提案の形で加わっていた。

 

Jパワー001キャプチャ

 

 アムンディ等が5月に提出した株主提案は①2050年までにカーボンニュートラルを達成するために、科学的根拠に基づく短期および中期の目標を明記した事業計画の策定と公表②Jパワーの設備投資が自社の排出量削減目標に整合しているかを定期的に評価・報告③排出削減目標の達成度合いと経営陣の報酬を連動させた報酬方針の詳細の開示――の3項目。

 

 28日の株主総会では、海外の議決権行使助言会社2社は提案に対しての賛成を推奨したが、提案3項目の賛成比率は18~26%にとどまったとしている。

 

 日本経済新聞の報道によると、株主総会に出席したアムンディの担当者は「Jパワーの脱炭素戦略は詳細が欠如し、高コストの石炭系技術に依存している。同社は財務リスクに直面している」と述べた。これに対してJパワーの菅野等取締役は「(石炭の次世代技術は)実証済みの技術を商用化するもの。既存の発電所に導入するため経済性もある」と説明したとしている。

 

 Jパワーの年間のCO2排出量は6488万㌧。発電能力の4割を石炭火力発電が占める国内最大のCO2排出企業だ。2050年度に国内発電事業のCO2排出量を実質ゼロとする目標を立て、中間の2030年度には40%削減(2017~19年度の平均値比)としている。株主総会で同社の渡部肇史社長は「すでに気候変動対応に関わる具体的な計画を策定し取り組んでいる。今後も情報開示の充実に努める」と説明したという。

 

 同社のCO2削減計画について、海外の機関投資家等は、削減計画を実現するために活用するとしている水素転換やCCUS等については、現時点で確立していない技術も含めているため「経済合理性および実現可能性が低い」と指摘していた。

 

https://www.jpower.co.jp/ir/

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB108EO0Q2A510C2000000/?type=my

https://www.accr.org.au/news/first-institutional-investor-group-led-climate-shareholder-proposals-filed-in-japan/