HOME10.電力・エネルギー |関西電力、宮城・山形県境の蔵王地域と、北海道での風力発電所事業計画を断念。高さ140m超の風車建設による自然景観への影響を懸念する地元の反対の声を崩せず(RIEF) |

関西電力、宮城・山形県境の蔵王地域と、北海道での風力発電所事業計画を断念。高さ140m超の風車建設による自然景観への影響を懸念する地元の反対の声を崩せず(RIEF)

2022-07-29 17:27:40

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 関西電力は29日、宮城県川崎町と北海道伊達市・千歳市の2地域で計画していた風力発電所建設事業について、断念したと発表した。このうち宮城県の事業では景勝地・蔵王への影響が大きいとして地元から反対の声が上がっていた。北海道の事業も環境への配慮と収益性の確保が難しいと判断したとしている。2050年ネットゼロに向けて再エネ事業の普及が求められるが、環境・景観等とのバランスがカギになることを反映したといえる。

 

 (写真は、東日本放送のサイトより)

 

 関電が計画していた宮城県川崎町の事業では、同町と隣接する山形県山形市の県境地域で、風力発電設備を最大23基設置し、最大96.6万MWの発電容量を生み出す内容だった。2028年度の着工、31年度の稼働の予定としていた。一方の北海道での計画は、伊達市と千歳市、白老郡白老町の一帯で、最大19基を建設、発電容量79.8MWの電力を生み出す予定だった。

 

 しかし、両事業とも周辺環境への影響とのバランスが問われていた。特に川崎町の事業では、建設される風力発電設備は高さ140m以上となり、立地する蔵王周辺の自然景観を大きく改変する可能性が指摘されていた。

 

 関電は5月30日に計画檀家環境配慮書を経産省に提出し、各地域の知事等の意見を求めたが、これに対して、宮城県、山形県の両知事はいずれも景観への影響を理由として、記者会見等で計画に難色を表明した。

 

 北海道の計画についても、環境への配慮を強化することで、収益性の確保が難しくなるとの判断になったとみられる。関電では、今後、速やかに「第一種事業(風力発電事業)の廃止等通知書」を経産省、北海道、宮城、山形の各県道知事へ提出する、としている。

 

 風力発電事業は再エネ事業の中でも太陽光発電とともに、普及が期待されている。事業としては発電効率を高めるための大型化が進む一方で、今回のように自然景観の豊かな地域に計画すると、景観や環境とのバランスが問われる可能性が高まっている。

 

 政府は「グリーントランス・フォーメーション(GX)」と称して、再エネ事業やトランジション事業を推進する旗印を掲げている。だが、単に大きな目標を掲げるだけではなく、環境や地域コミュニティとの両立が図れる、きめ細かな政策推進が求められていることを示唆する事例ともいえる。

 

https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2022/pdf/20220729_1j.pdf

https://www.khb-tv.co.jp/news/14638630