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ウェザーニューズ社。洋上風力発電事業の建設・管理作業向けに、世界の波・風等の気象予測データ提供サービス開始。「1kmメッシュ」でAI活用の高精細度情報が利用可能(RIEF)

2023-03-08 00:44:59

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 グローバルに気象情報サービスを展開するウェザーニューズ(千葉市)は7日、洋上風力発電設備の建設作業を支援する海上作業支援サービス「ANEMOI(アネモイ)」の提供を始めると発表した。洋上風力発電設備の建設や海上でのメンテナンス作業に必要な、高精度な波・風の予測データを提供する。従来の予測データの解像度は5km単位が中心だが、「アネモイ」解像度は1km単位の高精度。すでにデンマークの大手風力発電事業者のオーステッド(Ørsted)が先行利用しており、日本政府が主導する洋上風力発電建設事業での活用が期待される。

 

 (上図は、洋上風力発電向けに独自開発した高精度の予測モデル「EMOTION」による台湾周辺海域の予測解析像)

 

同社がサービスを開始するアネモイは、風力発電事業の建設現場の過去データや工事中のリアルデータを取り入れ、それらを人工知能(AI)を駆使して予測の精度を高めている。予測モデルでは、世界中の海上の波・風を1時間ごとに72時間先まで予測することが可能という。

 

 提供する洋上風力特化のサービスは、作業船の運航可否および航路選定を支援する「運航可否判断支援」や、建設・メンテナンス作業のリスクを可視化した「作業計画支援」のコンテンツ等を提供する。

 

を利用した洋上風力発電建設事業の工程表管理のモデル
作業計画支援のコンテンツレベルを3段階(「赤」は警戒、「黄」は注意、「緑」は影響なし)で表示

 

 また海上の風、波の高精度な気象予測データも、独自開発した「EMOTION」モデルによって、1kmメッシュで予測できる。同モデルに加え、他の予測モデル等も活用することで、風や波だけでなく、天気、視程、降水量、気温、湿度、台風、落雷などの情報を最大15日先まで確認できるという。これらの情報を利用することで、洋上風力発電事業者は、約2週間先までの工程計画の策定や作業可否の判断に利用できる。

 

 昨年3月から先行利用しているオーステッドは、現在、台湾の彰化県沖で開発・建設中の洋上風力発電所(Greater Changhua 1 & 2a)事業に、ウェザーニューズ社のサービスを活用しているという。

 

 同社は2021年9月に、洋上風力発電支援専門のチームを立ち上げ、洋上風力発電の事業性調査から、建設作業、保守点検・運用までをトータルでサポートするサービスを展開している。今回のアネモイの開発・提供はその一環。同社は1986年の創業当初から、長年にわたって石油市場などのあらゆる海上作業やエネルギー市場を気象面からサポートしてきたノウハウを活用して、グローバルに気象情報サービスを展開している。気候変動のオポチュニティ市場で、成功している数少ない日本企業の一つだ。

https://jp.weathernews.com/news/42849/