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中国電力。企業向け電力カルテルでの公正取引委員会の課徴金納付命令に不服として、取り消し訴訟提起を発表。707億円の課徴金額の多さに不満。「もう少しまけて」ということか(RIEF)

2023-04-28 18:18:57

Chugokuキャプチャ

 

 中国電力は28日、先に公正取引委員会から中国・関西両地区での企業向けの特別高圧電力および高圧電力の供給で他電力とカルテルを結んでいたとして独占禁止法に基づく排除措置命令と課徴金納付命令を受けたことを不服として、両命令の取り消し訴訟を提起すると発表した。同社は提訴理由として「(公取委の)命令の内容には、事実認定と法解釈において当社との間で一部に見解の相違がある」としている。

 

 (写真は、3月30日に公取委から課徴金命令を受けたことで陳謝し、辞任を発表した滝本・中国電力社長㊥=日本経済新聞より)

 

 同社は3月30日に公取委から命令を受けた際、「今回、独禁法や電力自由化の目的に反し、公正で自由な競争を阻害しかねない事案を起こしたことについて、極めて厳しく受け止めるとともに、顧客をはじめ関係者に多大なる心配・迷惑を掛けたことを深くお詫びする」として、事実関係を認めた上で、「今後は、独禁法を含む法令の遵守を改めて徹底し、本件を踏まえて策定した再発防止策を着実に実施していく」と発表していた。https://rief-jp.org/ct10/130526?ctid=

 

 ただ、同時に「命令の内容には、事実認定と法解釈において当社と公取委との間で一部に見解の相違があることから、今後、各命令の内容を精査・確認のうえ、取消訴訟の提起も視野に入れつつ、慎重に対応を検討していく」と、訴訟を示唆していた。

 

 同社は、事件の責任を負って、滝本夏彦社長と清水希茂会長が辞任を決めている。今回の訴訟はカルテルに参加した電力各社のうちで、もっとも多額の課徴金707億1586万円を課せられた中国電力が、減額を求める訴訟といえる。同社では不服とする点として①関西、中国地方の全てでカルテルが行われていたとみなされて課徴金が算定されている②再エネ発電促進賦課金が算定ベースに入っている――等を上げ、課徴金額が多すぎるとの不満だ。

 

 訴訟に訴えるのは企業としての権利でもある。今回の「電力カルテル」は、大規模な工場やオフィスビル向けの「特別高圧」契約や、中小規模の工場や事業所向けの「高圧」契約について、互いの営業エリアで顧客を獲得しないよう申し合わせたもので、そうした事実については中国電力も認めている。「課徴金命令の取り消し訴訟」ということは、命令に不服ということなので、米国ならば、懲罰措置として罰金倍増の判決が下る可能性もある。

 

 同カルテルを主導したとみられる関西電力は、違反行為を公取委に対して最初に自主申告したため、「課徴金減免制度(リニエンシー)」で課徴金を免除されている。これに対して中国電力はカルテル参加電力中で最高額の課徴金の支払いを命じられたことから、不満があったものとみられる。「関電に追随しただけなのに・・・」との思いか。

 

 カルテルを結んでいたのは、関電、中国電のほか、九州電力、中部電力とその販売子会社。各社の「取引制限」の申し合わせは会社間で協議のうえ、2018年ごろから行われていたとされる。
 電力各社はこれとは別に、傘下の送配電子会社を通じてライバルの新電力の取引情報を営業部門が「覗き見」していたとして、経済産業省から、関電と関西電力送配電、九州電力、九州電力送配電、中国電力ネットワークの5社が業務改善命令を、東北電力、東北電力ネットワーク、中部電力パワーグリッド、中部電力ミライズ、中国電力、四国電力の6社が業務改善勧告をそれぞれ受けている。現行の10電力体制自体が、電力市場活性化を阻むカベになっていることは間違いない。https://rief-jp.org/ct5/134645?ctid=72

https://www.energia.co.jp/press/2023/14681.html

https://www.energia.co.jp/press/2023/14624.html